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なぜ日本はW杯6回出場で“ベスト8の壁”を破れないのか?…Jリーグ外国人監督が証言した「ふてぶてしさが足りない」

posted2022/06/07 11:01

 
なぜ日本はW杯6回出場で“ベスト8の壁”を破れないのか?…Jリーグ外国人監督が証言した「ふてぶてしさが足りない」<Number Web> photograph by Getty Images

W杯出場6回にして、ベスト8進出の壁を突破できないのはなぜか? ブラジル、イタリア、スペインなど優勝経験国出身のJリーグ指揮官が一山越えるために必要なことを伝授する!

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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2017年11月以来となるFIFAランク1位・ブラジルとの対戦で、0-1で敗れた日本。これでブラジルとの対戦成績は2分11敗となった。W杯まで半年、今の日本代表に足りないものは何だろうか。W杯優勝経験国出身の指揮官たちが“日本がベスト8進出の壁を突破できない理由”を分析した「Sports Graphic Number」掲載記事を特別に公開する。
〈初出:2021年9月24日発売号「Jリーグ外国人監督が斬る! 日本代表が『ネクストステージ』に行くためのヒント」/肩書などはすべて当時〉

W杯出場6回にして、ベスト8進出の壁を突破できないのはなぜか? 強豪国と日本を分ける差とは何か? ブラジル、イタリア、スペインなど優勝経験国出身のJリーグ指揮官が一山越えるために必要なことを伝授する!

◆◆◆

 後退はしてない。だが前進もしてない。日本サッカーにとって初めての出来事が減り、大きな夢を描きづらくなっている。

 日本代表はロシアW杯で3度目のグループステージ突破を果たしたが、またしてもベスト8へ進めなかった。東京五輪ではメダルに一歩届かず、9月に行われたW杯最終予選では格下のオマーンに敗れた。

 日本サッカーが再び大きく成長するには何が必要なのだろう? 日本のことをよく知りながら、なおかつ別の視点を持っている人物、すなわちJリーグの外国人監督に話を聞けばヒントが見えてくるはずだ。

その1)ミシャ監督「少し受け身の試合をしすぎた」

 オマーン戦を複雑な思いで見ていたのが、北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ(以下、ミシャ)監督だ。

 オマーン代表のブランコ・イバンコヴィッチ監督は、ともに旧ユーゴ出身で30年来の親友。日本代表の森保一監督は、サンフレッチェ広島時代のコーチ。つまりミシャにとって「親友対教え子」だったのである。

「ポイチさんは私から広島を引き継いで3度リーグ優勝に導いた本当に素晴らしい監督。その前提で言えば、日本は少し受け身の試合をしすぎたと思う。アラブの選手は技術に優れ、時間とスペースを与えれば危険なプレーをできる。日本はもっと前からアグレッシブにボールを奪いに行く守備が必要だった。一方、イバンコヴィッチ監督はアラブの国民性をよく理解したうえで、彼らが苦手な規律を見事に植え付けたね。試合前に彼から電話? 今回はなかったよ」

 国民性を理解する――。それはミシャ自身が日本のチームを率いるうえでとても大切にしていることだ。

「日本人選手は規律を守らなきゃという思いが強すぎる」

「イビチャ・オシムさんから聞いていた通り、約16年前に広島に来たとき、日本人選手は真面目で、規律を守り、学ぶ意欲に溢れているとすぐにわかった。同時に問題点にも気づいた。規律を守らなきゃという思いが強すぎ、サッカーではマイナスに働いていたんだ」

 平凡な監督なら、弱点を強引に矯正しようとしたかもしれない。ミシャは違った。

【次ページ】 「ふてぶてしさ」というメンタリティがまだ足りない

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