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なぜ日本はW杯6回出場で“ベスト8の壁”を破れないのか?…Jリーグ外国人監督が証言した「ふてぶてしさが足りない」
posted2022/06/07 11:01
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
〈初出:2021年9月24日発売号「Jリーグ外国人監督が斬る! 日本代表が『ネクストステージ』に行くためのヒント」/肩書などはすべて当時〉
W杯出場6回にして、ベスト8進出の壁を突破できないのはなぜか? 強豪国と日本を分ける差とは何か? ブラジル、イタリア、スペインなど優勝経験国出身のJリーグ指揮官が一山越えるために必要なことを伝授する!
◆◆◆
後退はしてない。だが前進もしてない。日本サッカーにとって初めての出来事が減り、大きな夢を描きづらくなっている。
日本代表はロシアW杯で3度目のグループステージ突破を果たしたが、またしてもベスト8へ進めなかった。東京五輪ではメダルに一歩届かず、9月に行われたW杯最終予選では格下のオマーンに敗れた。
日本サッカーが再び大きく成長するには何が必要なのだろう? 日本のことをよく知りながら、なおかつ別の視点を持っている人物、すなわちJリーグの外国人監督に話を聞けばヒントが見えてくるはずだ。
その1)ミシャ監督「少し受け身の試合をしすぎた」
オマーン戦を複雑な思いで見ていたのが、北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ(以下、ミシャ)監督だ。
オマーン代表のブランコ・イバンコヴィッチ監督は、ともに旧ユーゴ出身で30年来の親友。日本代表の森保一監督は、サンフレッチェ広島時代のコーチ。つまりミシャにとって「親友対教え子」だったのである。
「ポイチさんは私から広島を引き継いで3度リーグ優勝に導いた本当に素晴らしい監督。その前提で言えば、日本は少し受け身の試合をしすぎたと思う。アラブの選手は技術に優れ、時間とスペースを与えれば危険なプレーをできる。日本はもっと前からアグレッシブにボールを奪いに行く守備が必要だった。一方、イバンコヴィッチ監督はアラブの国民性をよく理解したうえで、彼らが苦手な規律を見事に植え付けたね。試合前に彼から電話? 今回はなかったよ」
国民性を理解する――。それはミシャ自身が日本のチームを率いるうえでとても大切にしていることだ。
「日本人選手は規律を守らなきゃという思いが強すぎる」
「イビチャ・オシムさんから聞いていた通り、約16年前に広島に来たとき、日本人選手は真面目で、規律を守り、学ぶ意欲に溢れているとすぐにわかった。同時に問題点にも気づいた。規律を守らなきゃという思いが強すぎ、サッカーではマイナスに働いていたんだ」
平凡な監督なら、弱点を強引に矯正しようとしたかもしれない。ミシャは違った。