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《前代未聞の違法薬物事件》選手がスタジアムで“半合成麻薬”などを使用していた…3年前に急死したエンゼルス投手の裁判で明かされた衝撃的な事実
posted2022/02/24 17:01
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
2019年7月1日、エンゼルスのタイラー・スカッグス投手が遠征先のテキサス州のホテル内で急死した事件に関する裁判が今年2月17日、同州フォートワースで行われ、元球団広報部長のエリック・ケイ氏が半合成麻薬「オキシコドン」を提供するなど、死因に関与していたとして2つの罪状で有罪判決を受けた。有罪が確定すれば、同氏には少なくとも20年以上の禁固刑が科せられると見られており、ロックアウト(業務停止)中の米球界内に衝撃が走った。
急死直後はチームメートや関係者も不慮の死を受け入れられず、当日の「レンジャーズ―エンゼルス戦」は中止となった。その後、悲しみを胸にプレーを再開。死去後初の本拠地試合となった7月12日のマリナーズ戦では、大谷翔平をはじめチーム全員がスカッグスの背番号「45」のユニホームでプレーし、投手2人の継投でノーヒッターを達成した。試合がなかった同月22日には、スカッグスの故郷カリフォルニア州サンタモニカの教会で追悼式が行われ、大谷ら同僚も参列した。
証人で出廷した元同僚投手の“衝撃的な証言”
その一方で、同年8月30日、テキサス州の検視局が、スカッグスの死因を「アルコール、(オピオイド鎮痛剤の)フェンタニル、オキシコドン中毒による胃内容物の誤嚥(ごえん)」と発表。オピオイドとアルコールによる酩酊状態で嘔吐し、吐しゃ物により窒息死したことが明らかになったことで、薬物との関連性がクローズアップされ始めた。「オキシコドン」などの強い鎮痛剤は、医師の処方なく提供することが禁じられた薬物で、スカッグスの遺族が入手経路の解明を求め、その後、ケイ氏の関与が明るみに出たことで裁判に発展した。
今年2月15日の裁判には、オールスター出場経験もある元同僚のマット・ハービー投手(オリオールズFA)が証人として出廷し、ケイ氏が複数回にわたって半合成麻薬「オキシコドン」を提供していたことを証言した。
また、ハービーはメッツ在籍時からコカインを常用していたことを認めたほか、麻薬ディーラーから入手した中毒性のある強力な鎮痛剤「パーコセット」をスカッグスに複数回にわたって提供したと証言した。また、2人は、それらの薬物を本拠地エンゼルスタジアムのクラブハウスやダッグアウト内で服用していたという衝撃的事実を明かした。