酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《元・巨人ドラ1のエリート》河原純一48歳は今、愛媛で何を? 「“しんどいからやりたくない”は通用しない」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/10/14 17:01
元巨人のドラフト1位・河原純一(48)は愛媛の地で野球に携わっていた
「技術や運動神経など、すべてが違うなと思いました。NPBに行く選手は自分の身体を上手に操れるタイプが多いのに、独立リーグに来る選手はそれができていない。
そのくせ、ネットやSNSなどで妙に知識や情報だけは持っていて、見よう見まねでウェイトトレーニングをしたりする。でも身体はでかくなっても自分の身体を上手に操れない。それは順序として逆だと思う。身体は、動かし方を覚えてから大きくしていかないと、大きくなってから身体を動かすことはできないんですね。
それに意識の問題も大きいです。自分はなぜ独立リーグにいるのか――未熟だからですね。指導者は、それをどうにかしてよい方向に導こうとするんですが、素直に受け入れられない子も多い。やはり野球に関しては素直でないと厳しいと思いますね。
自分が今までやってきたことと違うとか、自分はそういうことやりたくないとかいう意識の方が勝ってしまう。自己流にこだわるのなら、なぜそこにいるの? ということになる。NPBの方が、そういう選手は少ないですね。
“独立リーグあるある”なんですが、能力的にすごくいいものを持っている選手ほどハートが未熟な子が多い。逆にそちらがしっかりしている子ほど、能力的に物足りない。
ただ――150km/h投げることができる子のハートを直すことはできますが、ハートは良くても130km/hしか投げられない子を150km/h投げられるようにすることは難しい。ポイントはそこですね。でも、ハートの問題は、入団する前の段階ではわからない。その辺りが大変ではないかと思います」
「仕事というよりも、部活動感覚で来る人も」
河原以外の指導者からも、こうした言葉はたびたび聞いた。技術や身体能力よりも「意識」の問題が大きいのだ。
「部活動の感覚で来る人も多いですね。つまり、仕事という意識が少ない。球団から何かしらの給料をもらっている限り、彼らにも義務が発生しているわけで“しんどいからやりたくない”は通用しない。
今は選手の自主性を重んじる指導が主流ですが、残念ながら独立リーグでは自主性を重んじていたら、やらない子の方が多い。NPBだって若い子はそうですから、球団の管理は必要ですが、そこから始まって選手が自覚して自分でやり出すのが理想的ですね」