酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《元・巨人ドラ1のエリート》河原純一48歳は今、愛媛で何を? 「“しんどいからやりたくない”は通用しない」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/10/14 17:01
元巨人のドラフト1位・河原純一(48)は愛媛の地で野球に携わっていた
河原は愛媛で投手として投げている時期から「子どもの運動能力が衰えているのではないか」という問題意識を持っていた。それが高じて引退後、愛媛県内の幼稚園などで、ボール投げなどの「野球遊び」の楽しさを伝える教室をやるようになった。
「独立リーグで伸びる選手」の条件とは
愛媛の監督を引き受けるときも「指導の傍ら、野球教室をやること」を条件にした。
「いろいろ勉強したのですが、やはり運動神経は幼少期に確立されるんですね。小さい時の遊びが、後の運動神経に関わってくる。未発達のまま大人になってから技術を習得しようとしても難しい。
そういうことを考えると、独立リーグがレベルが低いとか、そういう問題だけではないような気がしたんです。だから現役を引退した直後から、幼稚園に行きだして、今もオフに選手を連れて行っています。“来てくれ”と言われて何度も行く幼稚園もあります。僕が子供のころと今の子供はいろんな部分で違うことが多いので、自問自答しながらやっています」
では――独立リーグに来て伸びる選手は、どんな選手だろうか?
「とにかく若い選手ですね。意識や技術が未熟であれば指導していかなければならない。若ければ、自分で気づいて進歩するまで時間がある。NPBに行くにしても、年齢の問題は大きいですね。高卒なら2~3年くらいは時間があるでしょうが、大卒は3年なんて言っていられない」
スカウトが注目していた選手はいたが
今季の愛媛にもスカウトが注目する選手がいた。
仁木敦司は1998年9月21日生まれ、23歳の内野手。下関国際高-広島国際学院大を経て今年入団。広島六大学野球では首位打者とベストナインを獲得した経験がある。
シャープな打撃は注目を集めたが、6月12日の試合で左手甲の側面に死球を受けて粉砕骨折。3カ月のブランクを経て9月に復帰した。
河原監督は「打撃が長所ですね。もっとガツガツ行くのかなと思ったんですが、顔に似合わず今どきの子です。打つことは得意だけど、守備や走塁はやや苦手です。死球で離脱したけど、スカウトは注目している」と語っていた。
本人は、NPBへの挑戦は1年だけと思っていたが、死球でリタイアしたのが悔しくて「このままでは終われない」という心境になっていた。
漆原幻汰は2002年10月11日生まれ、19歳の外野手。愛知県の豊川高からトライアウトを受けて愛媛に。河原監督は「高卒1年目でフルに出場して頑張っていた。足が速い外野手だが、走攻守にずば抜けたところがない。アピールポイントを身につければ可能性はあると思う」と評していた。
本人は「独立リーグに来た頃は投手の球に対応できなかったが、コーチにインコースの打ち方を教えてもらって、肘を抜いてグリップを先に出していくイメージで対応できるようになった。外野の送球の正確性を高めてアピールしたい」と語っていた。
何人かのスカウトは注目はしていたが、2人のもとに調査書は来なかった。ともに来季、NPB入りを目指してもうひと頑張りすることになる。