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後楽園ホールからアメリカへ。
二極化する2011年の格闘技界。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/02/01 10:30

後楽園ホールからアメリカへ。二極化する2011年の格闘技界。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

1993年、アメリカはデンバーで始まったUFCは今や格闘技界、世界最高峰の大会となった

 2011年は、格闘技界の様相が大きく変化することになりそうだ。

 大晦日の『Dynamite!!』を終えたところで、K-1とDREAMは次の大会に関するアナウンスがなされず、表面的には休止状態となっている。両イベントを主催するFEGの谷川貞治代表は、運営体制の一新を予告。中国の投資銀行PUJIのバックアップを受けつつ、ビジネスのスキームを大きく変えるようだ。

 昨年、ファイトマネーの未払いが表面化するなど経営危機が伝えられたFEG。『Dynamite!!』の視聴率も不振だっただけに、変革が求められるのは当然のことだといえる。

中小の大会には、日本の格闘技の面白さが凝縮されている!

 そういう状況下でも、もちろん選手は試合をしなければならない。業界の再興をただ待っているわけにはいかないのだ。

 1月9日のKrush後楽園大会にはK-1 WORLD MAX世界トーナメント準優勝の佐藤嘉洋が出場。23日の『REBELS』ディファ有明ではMAXで注目度を高めた日菜太が試合を行なっている。2月19日に後楽園ホールで開催されるシュートボクシングは、弘中邦佳と大澤茂樹というMMAファイターの出場によって話題を集めそうだ。2月25日のDEEP後楽園大会も、主力選手が数多く登場する豪華なマッチメイクとなった。FEGとは対照的に、後楽園ホールやディファ有明をメイン会場とする中小イベントの動きが活発になっているのだ。

“メジャー級”ファイターの出場と、多彩かつ勝負論の強いマッチメイク。後楽園やディファで試合を見ながら「所詮はマイナーイベント」などという不満は浮かんでこない。地上波で放送されているものだけが格闘技ではないことに、ファンも気づき始めている。

日本人格闘家が見据える、欧米という選択肢。

 また山本“KID”徳郁と小見川道大は昨年末にUFC参戦を発表。二人は揃って2月5日の『UFC126』ラスベガス大会に出場する。2月27日の『UFC127』オーストラリア大会にはDEEPミドル級王者の福田力が出場。続く『UFC128』(3月19日、ニュージャージー)では秋山成勲vsネイサン・マーコート戦が組まれている。むしろ海外でこそ、日本のファンにとっても目が離せない試合が行なわれているのである。

 アメリカ第二のMMAプロモーションであるSTRIKEFORCEも、4大会に分けてヘビー級トーナメントを開催。日本にもなじみの深いエメリヤーエンコ・ヒョードル、ジョシュ・バーネット、アリスター・オーフレイムらが出場するだけに、このトーナメントも、単なる“海の向こうの出来事”ではない。STRIKEFORCEでは、川尻達也のライト級タイトル挑戦も噂されている。スコット・コーカーCEOも、この対戦の実現に前向きのようだ。

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