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《八村塁のチームメイト》ロビン・ロペスはなぜ少年バスケ漫画を作った? 作画は日本人に依頼「スラムダンクは歴史上もっとも影響力が強いマンガ」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byAP/AFLO
posted2021/07/20 17:00
ウィザーズで共にプレーした八村塁とロビン・ロペス。マンガ制作において、幼少期の沖縄生活や八村の話は大いに参考になったという
ロペス兄弟が『トランジション・ゲーム』の企画をスタートさせたのは約5年前。時間をかけて実現に向けての準備をしてきた。4年前には実際に沖縄を訪れてリサーチもしたという。
「那覇に泊まって、まわりの島にも行った。いろんなリサーチをしたんだ。自転車に乗って家並みを見てまわったり、スポーツ関連の施設を見たりね。実際に見て回って、沖縄には僕らの物語に必要なものがたくさんあると思った。ドイツとの対比もよかった」
作画を担当するのはTATSUZ。立沢克美の名で『バーサス魚紳さん!』『ダウト』『ポンチョ』などの作品を出している日本の漫画家だ。『スラムダンク』の井上雄彦のもとで長年チーフアシスタントを務めた経験もある。
アメリカ人ではなく、日本人の漫画家を選んだのには理由があった。アメリカのコミックブックに比べて、日本のマンガのほうが絵に動きがあり、リアリティを感じるからなのだという。
「この物語には『マンガ』の雰囲気があっていると思ったんだ」とロビンは言う。「僕にとって『マンガ』は、たとえ物語が日常のことでなかったとしても、現実的な色合いが濃いように感じるんだ。絵に動きを感じるところからくるのかもしれない。TATSUZの作品はとてもダイナミックで動きがあって、それでいて独特な味がある。そういった点で優れていると思った」
主人公のキャムも、コミックブックによくあるようなスーパーヒーロータイプではなく、現実にいそうな15歳の少年だ。
「最初のエピソードは、ドイツでのバスケットボールの試合中から始まるんだ」
その後、物語はドイツから沖縄へと移っていく。最初のエピソードは7月20日に公式サイトで公開され(英語、日本語、中国語)、その後、約1カ月に1回のペースで新しいエピソードが公開される。
「これは多くの人にとって魅力ある漫画だと思っている。僕らはずっとマンガもアニメも好きで、日本も大好き。できるだけ多くの人に読んでもらえたら嬉しい」
「東京」にも行きたがったが
興味をもったことなら世界をまたにかけて飛び回るロビン。まもなく開幕する東京オリンピックは、見に行きたかったイベントのひとつだったという。
「東京でオリンピックが開催されることが決まったとき、このオリンピックは見に行こうと思ったんだ」
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のために海外からの観客受け入れが見送られ、その後、7月に入ってからはほとんどの競技が無観客で行われることになったことで断念。「オリンピックは行ったことがないし、行きたかった」と残念がる。
現地に応援には行けないが、日本代表のメンバーとして出場する八村のことは、海を越えたアメリカから応援している。オリンピック開会式で日本の旗手を務めるというニュースには、チームメイトとして胸躍らせた。
「オリンピックに出るというだけですばらしい経験だけれど、旗手を務めるのはさらに特別なことだと思う。塁ならうまく務めると思うよ」