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《八村塁のチームメイト》ロビン・ロペスはなぜ少年バスケ漫画を作った? 作画は日本人に依頼「スラムダンクは歴史上もっとも影響力が強いマンガ」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byAP/AFLO
posted2021/07/20 17:00
ウィザーズで共にプレーした八村塁とロビン・ロペス。マンガ制作において、幼少期の沖縄生活や八村の話は大いに参考になったという
NBAに入って2シーズン目を終えた八村の成長は間近で見てきた。特にプレイオフでは、レギュラーシーズンとは違う戦いがあり、初出場の八村にとってはそこから学べることが多かったと言う。
その例として、フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのプレイオフ第1戦で、シクサーズのトバイアス・ハリスが、経験の浅い八村を狙うかのようにアグレッシブに攻めてきたときのことをあげた。
「プレイオフはマッチアップで有利なところを狙ってくる。トバイアスは最初からアグレッシブに、血を求めていた。それは塁にとって、とても大事な経験だったと思う。彼にとっては思うようにいかない経験だったかもしれないけれど、でも、そこから学ぶことができる。塁にとって、最初のパンチを自分から繰り出すことの価値を知ったことは大きかった」
そんな八村と『センパイ』『コウハイ』のような関係を築きシーズン通して大きな影響を与えたのがチームのリーダー、ラッセル・ウェストブルックだ。
「ラス(ウェストブルック)は若手選手に対して、いつ厳しくして、いつ親しくつきあうかをよくわかっている。今シーズン、塁をはじめとする若手選手の成長の多くは、もうひとりのリーダー、ブラッドリー・ビールと並んで、ラスのおかげだったと思う」
ロビン自身は、若手に対してウェストブルックとは違うスタンスで八村ら若手選手たちとの関係を築いている。
「僕と塁は(先輩、後輩というよりは)仲間みたいな感じかな。コミックブックの話やビデオゲーム、テレビ番組の話をよくしている。僕は若手に対して、教えることもあるけれど、いっしょになって楽しむタイプなんだ。
塁はすばらしいチームメイトだ。チームに明るいムードをもたらしてくれる。饒舌なタイプではないけれど、彼が何か言うときはとても面白い。ロッカールームでのちょっとした会話で、ジョークを言うときに口を挟むタイミングが絶妙なんだ。たとえばラスやブラッド(ビール)が話していて、塁はそこに一言だけ口を挟んでくるんだけれど、それが面白いんだ」
ロビンとウィザーズの契約はこの夏で切れてフリーエージェントになる。契約は交渉ごとなので先の予測はできないが、ロビン自身は、ウィザーズに残りたいと断言する。
「次のシーズンもワシントンに残れたら嬉しい。チームメイトのことが好きだし、今シーズンは(プレイオフに進出し)いいシーズンを送れて、とても楽しく過ごすことができた。ワシントンに残りたい」
トランジション(移籍)は、今は漫画の世界の中だけ十分、ということのようだ。