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逸材ハーランドやウーデゴールに“190cm台の大物”揃い+人権侵害に「NO」 ノルウェーが希望だらけ〈EURO予選敗退国もアツい〉
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/07/17 17:01
ハーランド、ウーデゴールら逸材揃いのノルウェー。カタールの地で見たいチームの1つだ
ケルンやウォルバーハンプトンではゾーンディフェンスに固執するあまり失敗し、その後7年かけてデンマークの強豪で磨きをかけた戦術。だがノルウェー代表で用いるには、まだ改善の余地がありそうだ。
9月にはオランダ戦を控えている。W杯予選のスタートダッシュに失敗し、EURO2020ではベスト16に終わったことで、監督なり選手なりにテコ入れを図ってくるのは必至だろう。新生オランダとの直接対決は、ノルウェーの予選突破を占う重要な分岐点になる。
カタールでの人権侵害でW杯ボイコット寸前だった
そしてもうひとつの分岐点。実はノルウェー代表、ここ数カ月にわたってW杯予選をボイコットする動きがあった。理由は開催国にある。
今年2月に英『The Guardian』が発表したところによると開催国であるカタールでは、2010年12月の開催決定から10年間で計6,500人以上のアジア系移民労働者が死亡している。
全体の7割近くがいわゆる「自然死」に分類されており、気候も相まって劣悪な環境の中で労働させられていたことも明らかになった。7つの新設スタジアムの他、新空港などのインフラ整備のための工事が至る所で行われている。
ノルウェーではそのカタールに対して「人権を侵害している」と反発の動きが活発化。国内クラブから始まったボイコット運動が、国全体に広まった形だ。
ノルウェー代表もW杯予選の試合前には “HUMAN RIGHTS - On and off the pitch (ピッチ内外で人権を) ” とプリントされたシャツを着用している。
「実行すべき26のプラン」を提示へ
この行動をソルバッケン監督が「FIFAに対して、カタール当局にもっとしっかりと、より厳しく要求するようプレッシャーをかけるため」と明かせば、ウーデゴールは「ボイコットするかどうかにかかわらず、僕たちがどんな変化を加えられるかに注目することが大切だ」と語った。
6月のノルウェーサッカー協会の臨時総会で、大会のボイコットはしないことで決定した。その代わりにFIFAとカタール当局に対し「実行すべき26のプラン」を提示するようだ。
欧州中がEURO2020で熱狂する中、ノルウェーは国際社会が抱える人権問題に対して真摯に向き合っている。