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大関・朝乃山と番記者が一緒に“深夜外出した”問題…他紙デスクに聞く「番記者の関係は近すぎたのか?」 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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posted2021/07/10 17:02

大関・朝乃山と番記者が一緒に“深夜外出した”問題…他紙デスクに聞く「番記者の関係は近すぎたのか?」<Number Web> photograph by KYODO

昨年3月に大関に昇進した朝乃山。今年の5月場所の最中に、相撲協会のガイドライン違反が発覚した

佐々木 協会も過去のいろいろな問題から学んでいて、数々の証拠集めも相当やっていますし、調査も綿密なんです。それこそ警察の捜査かというほどのレベルで、写真や防犯カメラの映像を取り寄せたりもする。万が一、裁判になる可能性なども考えるのか、不適切な処分や過剰な処分をしてはいけないと、重々わかっているからなんですね。だからこそコンプライアンス委員会を作り、厳しいくらいに、ぬかりなくやっているんです。

佐藤 コンプライアンス委員会ができたのは、2018年の日馬富士による貴ノ岩への暴行事件後ですね。それまでは”相撲村”の中で決めてしまっていたのが、「第三者を入れよう」と。元名古屋高検検事長や弁護士など”その道のプロ”の方たちがフラットに、一切の感情を入れずに調査する。それが公平性なのかもしれないけど、今までの相撲界の感覚では、意識が追い付かないのではないかとも思う。「法に則っての調査です」って、これからもどんどん厳しくなるんですかね?

能町 そもそもコンプライアンス委員会のメンバーってどうやって選ばれているんですか?

佐々木 結局は協会が選んでいることにはなりますね。委員長のほかの2名の外部委員は現在は非公表です。協会内ではコンプライアンス部長として尾車親方がいて、5つの各一門から親方たちが選出されて構成されてもいるんです。コンプラ委員会は、その協会側からの要請を受けて答申を出し、その答申内容を元に、最終的な処分はあくまでも理事会が決める。最近の事例でも、答申内容をそのまま受け入れているケースばかりではないんですよ。たとえばガイドライン違反をした平幕の竜電も、3場所出場停止処分が相当とされていましたが、5月場所は師匠の判断で自主的に休場をしていました。そこからカウントされていて、実質は2場所。「どこの場所を起点にして」などは委員会からの答申には書かれていないので、そこは最終的に理事会が決定したことなんですね。同じくガイドライン違反で退職した錦島親方(元大関朝潮)の件でも、結果的に懲戒処分はなく、提出された退職届をそのまま受理しているんです。しかも退職届が提出されてからすぐには受理をしないで、きちんと理事会がご本人から聞き取りをしての結果なんです。

佐藤 なるほど。

佐々木 だから、よく言えば協会には「心がまだある」と言えるところであり、厳しく言えば「シビアになり切れていない」部分でもあると考えられます。あえて悪く言うとすると、朝乃山の処分については、逆に心の部分――心証が悪かったから、その心が働いちゃった部分もあったのか、と想像できるんですよね。けして、すべてが杓子定規に決められてるわけではないんです。

スポニチ番記者の何が“まずかった”のか?

佐藤 今回、佐々木さんに是非とも訊きたいのは、朝乃山の件ではスポニチの番記者さんが関わっていたということ。同じ記者の立場としての見解や、それこそ言いたいこともおありかと思うんですよね。良心的な記者さんもたくさんいるのに……。

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