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ドラフト候補がマクドナルドでバイト中? 獨協大・織田諒也がプロ注目の投手になった2つの転機とは【2021年ドラフト隠し玉】
posted2021/05/23 11:01
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
《毎年のように多くのドラフト候補に触れ、アマチュア野球界を幅広く取材する高木遊氏による『発掘!2021年ドラフト隠し玉』シリーズがスタート。第3回は獨協大学の織田諒也投手です!》
人生は時として、いくつかのきっかけでまったく想像のつかない展開を見せることがある。今、獨協大の織田諒也もそれを肌で感じていることだろう。
サイドハンドから投じるキレと回転の良いストレートは最速144キロを計測し、変化球も2種類のツーシーム、カットボール、スライダーを操る技巧派右腕。首都大学野球の2部リーグという陽の当たりにくい環境でプレーしながらも、NPB球団のスカウトが視察するほどの存在になった。
それでも野球以外の生活は、これまでの人生とさほど変わりはない平穏さを保っている。マクドナルドでアルバイトをする彼の姿を見ても、まさか「プロ注目の投手」だとは思わないだろう。
目立った実績もなく、ピッチャーは高校から
中学時代まではどこにでもいる野球少年の1人だった。
小学生時代の交進ジュニアクラブでは捕手、八街中央中学校軟式野球部時代は遊撃手。足はもともと速かったが、チームは弱く「大会でほとんど勝ったことはありません」と勝利の記憶は数えるほど。県や市の選抜チームにもほど遠く高校からの勧誘もなかった。
高校は自宅からの通いやすさと学力が合うことに加え、柴田仁史監督(現千葉北高校)の指導に惹かれて千葉県立四街道高校に進んだ。
ここで1つ目の転機を迎える。
高校入学後に「軟式から硬式に変わったら指にボールがかかるようになって」と投手を始めたが、オーバーハンドで投げた2年夏に「自分のせいで3年生の夏を終わらせてしまった」という敗戦を喫した。
「このままではいけない」という悔しさから様々なことを模索する中で出会ったのが腕を下げて投げることだった。