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河原純一のようなキレイ系右腕&周東佑京クラスの韋駄天…首都大2部でひっそりとプレーする2人のスター候補とは?【2021年ドラフト隠し玉】
posted2021/05/27 17:02
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
プロ野球選手の輩出や全国大会で上位に進出するチームが多い首都大学野球リーグ。今季も大混戦の模様だ。
1部リーグは帝京大、桜美林大、東海大の3校が勝率で並んだことで、5月29日と30日に「優勝決定トーナメント」が行われることになった。その優勝校が全日本大学野球選手権への出場権を得る。
その日、同じサーティーフォー相模原球場で開催されるのが入替戦だ。こちらも注目に値する戦いが繰り広げられそうだ。1部リーグは上位争いだけでなく、最下位争いも熾烈。昨秋優勝の日体大やドラフト上位候補左腕の佐藤隼輔を擁する筑波大も最終戦まで最下位の可能性があったほど。結局、武蔵大が入替戦に回ることになったが、同大も昨秋は2位と躍進し、今も当時の主力も残っているため地力は高い。
そんな武蔵大に挑むのが、2部優勝校の明星大。知名度こそまだ低いが、将来性の高い好素材が投打に揃っている。
巨人スカウト「河原純一に似ています」
「只今の球速 152キロ」
目を疑うような数字がバックスクリーンに表示され球場はどよめいた。5月23日に行われた日本ウェルネススポーツ大との2部優勝を争う一戦で、明星大の先発右腕・権田琉成(ごんだ・りゅうせい)がスピードボールを投げ込んだ。しなやかな腕の振りから、初回の先頭打者相手にしれっと自己最速球速を記録。
この数字を眉唾ものに感じる大学野球ファンは多いかもしれない。神奈川県の平塚球場(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)のスピードガンは、スカウトやファンから「実際より5キロほど速く出る」とも言われている。首都大学野球や侍ジャパン大学代表候補合宿で多く使用され、これまで幾多の投手がこの球場で「自己最速」を記録してきた。それでも、この日視察に訪れていたスカウトの持つスピードガンでは「149キロ」や「146キロ」という表示もあったという。
ただ、細かな球速はこの際どうでもいいほど、権田の魅力は球速そのものというよりは、球の質やキレだ。視察に訪れていたスカウトもこう評価する。
「投げ方が綺麗でコントロールに苦労しなさそうです。カットボールのキレが良いですね」(オリックス・早川大輔スカウト)
「腕がしなっていて体が柔らかいですね。うちにいた河原純一に似ています」(巨人・内田強スカウト)