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【ラグビー】クボタ初の4強の要因は? 立川理道が語った“ボルツ”の存在と一体感を作った“オレンジアーミー”「財産になりました」
posted2021/05/20 17:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
SportsPressJP/AFLO
ラストシーズンにふさわしい盛り上がりだ。
2022年から新リーグに移行するため、ラグビー国内最高峰のトップリーグは5月23日の決勝戦、サントリーvs.パナソニックの一戦をもって18年の激闘史に幕を閉じる。しかし今シーズンに繰り広げられた名勝負、名シーンは永く語り継がれるだろう。
とにかく、今季は中堅、下位チームの躍進が目覚ましかった。
2季前は下部リーグにいたNTTドコモが初の8強に進出すれば、2季前は12位だったキヤノンはシーズン中に成長して8強入り。全8試合中5試合が7点差以内だったリコーは粘り強かった。
ただ躍進組の筆頭は、やはりリーグ初の4強入りを果たしたクボタに違いない。
歴史を振り返ると、トップリーグは4強の壁が厚かった。過去17シーズンの総合順位で4強経験は7チームのみ。クボタはリーグが成立した2018-19シーズンまでの過去5季で13、12、12、11、7と着実に順位を上げてきたが、なかなか4強に食い込めなかった。しかし、ついに新たな歴史を刻んだ。
14人で戦い抜いた神戸製鋼戦
なぜ今季のクボタは躍進できたのか。その理由を問われると、2019年W杯日本代表のピーター・ラピース・ラブスカフニはこう答えた。
「『チームの一体感』と『楽しめる環境が多かったこと』ですね」
4強の壁を初めて乗り越えたプレーオフ準々決勝は、まさに一体感の勝利ではなかったか。
凄まじい試合だった。18-19シーズンのチャンピオンである神戸製鋼に、2点差(23-21)で競り勝ったというだけではない。前半に一発退場により、「司令塔」と呼ばれる背番号10のスタンドオフを欠きながら、なんと50分以上を14人で戦い抜いたのだ。
痛恨の一発退場は、クボタが17-0でリードしていた前半29分。SOバーナード・フォーリーの右肩が、神戸製鋼のNo.8ナエアタルイの頭部に激しくヒットしてしまった。
負ければシーズン終了のトーナメントで、19年W杯オーストラリア代表のプレーメーカーがまさかの退場。しかも試合は50分以上も残っている。相手は連覇を狙う神戸製鋼だ。
傍目には、絶体絶命、と映った。