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【ラグビー】クボタ初の4強の要因は? 立川理道が語った“ボルツ”の存在と一体感を作った“オレンジアーミー”「財産になりました」
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph bySportsPressJP/AFLO
posted2021/05/20 17:00
惜しくも決勝進出を逃したが、主将としてクボタの躍進を牽引した立川理道
初めて勝ち進んだトップリーグのプレーオフ準決勝では、サントリーの巧みな試合運びの前に、26-9で屈した。
サントリーは長短のキックを的確に蹴り込み、クボタの大型フォワードを疲弊させた。ブレイクダウンに人数をかけ、ボールを保持するクボタのプランを崩した。クボタのラスト・トップリーグは準決勝で終わった。
大卒1年目は下部リーグで戦ったこともある立川キャプテンは、飛躍したシーズンを淡々と振り返った。
「こうした経験はあまりクボタにありませんでした。チームとして財産になりました」
財産はピッチの外にも生まれた。
今季のクボタの試合会場は、オレンジ色のチームグッズを身につけたファンで華やかだった。クボタはルディケHCの考案でファンを「オレンジアーミー」と呼び、ホーム会場でオリジナルベースボールシャツを無料配布するなど多彩なファンサービスを展開した。
コロナ禍における観戦マナーで、声での応援は送れなかった。しかしファンの熱は確実に届いている。1年目から大活躍だったFB金秀隆(きむ・すりゅん)にとって、ファンは共に歴史を創った仲間だった。
「オレンジアーミーの応援は日本一です。クボタの一体感になって、一緒に歴史を塗り替えることができました」
広報が語った、ある出来事
チームOBの岩爪航広報は、本拠地である船橋市で目にした、或る出来事が忘れられない。
4強入りを決めた神戸製鋼戦の翌日のことだった。指先でつまめるサイズの、しかし大きな贈り物に心を揺さぶられた。
「船橋市役所にクボタスピアーズの結果などを掲示する場所があります。そこに神戸製鋼戦の翌日、付箋が一枚貼ってあり、応援メッセージが書かれていました。ネットで済んでしまう時代に、わざわざ市役所に行き、付箋に書いて貼る、というのは手間だと思います。そこまでやってくれて、すごく有り難いなと思いました」
たった1枚の付箋だけれど、これからも頑張ろうと意欲が湧いてきた。
今後、チームは来年開幕予定の新リーグへ向かう。HOマークス、SOフォーリー、CTBライアン・クロッティ(ニュージーランド)という19年W杯出場組は、クボタでの来季プレーに前向きである。