Overseas ReportBACK NUMBER
予防を取るか、副作用を避けるか… 東京五輪出場選手に迫る「ワクチン接種のタイムリミット」とは?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2021/04/24 17:00
東京五輪開催まで3カ月を切ったが、問題は山積している
ラグビー女子代表ナヤ・タッパーは「最初は接種に消極的だったけれど、自分だけではなく、周囲の安全を考えて打つことにした」と、車椅子ラグビー代表のジョー・デラグレイブも「ここまで長い間、練習してきたのに現地でコロナに感染して出られないという状況にはなりたくない。ナヤと一緒で、自分だけではなく他の選手、社会のことを考えて打つことに決めた」と話す。ワクチン接種をしても感染する可能性はある。しかし接種による効果を考慮して、接種を決めた選手たちが多い。
選手たちが語る、コロナ感染の恐怖
コロナに感染した選手もいる。
飛び込みでロンドン五輪金メダルのデヴィッド・ボウディアは東京で開催予定だったダイビングのテスト大会前に感染した。
「自分は若いし健康だから、感染しないと見くびっていたけど、発熱や関節痛などで、2日間くらい寝込んで、まだ体調がよくない。体調に波があるし、体へのダメージがあるので、練習も体調を見ながらになると思う」とげっそりとした表情で語る。
ボートでロンドン五輪銅メダルのカラ・コーラーは「感染拡大した当初、チームメイトの多くが感染し、その後も体調不良が続き、復帰に時間がかかった選手が多かった」と恐怖を語る。
ちなみにレスリングの米国五輪選考会では、選手の1人が大会前の検査で陽性になり、選考会への欠場を余儀なくされた。そのニュースを聞き、「選考会や東京での感染リスクを少しでも下げるために」と焦って予約をとった選手も多いようだ。
副反応で「ボクサーに殴られたような打撲痛」も
4月19日現在、米国で認可されているワクチンは2回の接種が必要なものだ。1回目の接種から3週間あけて2回目を接種することが推奨されている。
気になるのは副反応だ。(※ここでは接種直後のアナフィラキシーなどの副反応ではなく、接種1~2日後のことを指す)
接種後に腕に痛みを感じた選手は多く、陸上のジャスティン・ガトリンは「ボクサーに殴られたような打撲痛があった」と話していたが、上腕部の痛みのほか、関節痛、倦怠感、発熱、嘔吐などを経験した人が多い。発熱と関節痛に襲われた選手は、「スケボーで激しく転倒したような痛みと発熱で2日間寝込んだ」と訴える。