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予防を取るか、副作用を避けるか… 東京五輪出場選手に迫る「ワクチン接種のタイムリミット」とは?

posted2021/04/24 17:00

 
予防を取るか、副作用を避けるか… 東京五輪出場選手に迫る「ワクチン接種のタイムリミット」とは?<Number Web> photograph by AFLO

東京五輪開催まで3カ月を切ったが、問題は山積している

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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 東京五輪開催まで3カ月を切った。選手たちは各国の選考会や最終予選などに臨んでいる。

 様々な問題を抱える大会開催だが、「新型コロナのワクチン接種」も話題の一つ。昨年の今頃は、大会前に選手や関係者への接種を目標にしていた(はずだ)が、供給は追いついていない。

 今年1月にIOC(国際オリンピック委員会)のディック・パウンド委員が選手に優先的にワクチン接種をしては、と発言したという報道もあったが、その発言を真に受けた国はさほど多くはなかったようだ。

ワクチン接種は、五輪の参加条件ではない

 国民の半分近くが接種済みのイスラエルは5月までに代表選手に接種すると発言しているが、優先的に選手に接種する(もしくは優先した)国はメキシコ、セルビア、韓国、ハンガリー、オーストラリアなどごく少数で、優先しない旨を発表したのは英国、米国など。選手は自分の順番を待って接種するようにという考えの国が多い印象だ。

 医療従事者、基礎疾患を持つ方、高齢者などが最優先されているのは全世界の共通で、五輪やパラリンピックの選手だから、国際大会に出場するからワクチン接種を優先されるべきという理論は通用しない、というのが現実なのだ。

 ワクチン接種は、オリンピック・パラリンピックの参加条件ではない。そもそも供給が追いついていないし、慣習的、宗教的な理由からワクチン接種を希望しない人々もいるため、強要することはできない。米国オリンピック・パラリンピック委員会も「選手が希望すれば、接種できるように協力するが参加条件ではない」としている。

 ワクチン接種に関して断固反対の選手もいる。ロンドン五輪陸上で3つのメダルを獲得したジャマイカのヨハン・ブレイクは地元紙に、「ワクチン接種が東京五輪の出場条件ならば五輪に出ない」と発言している。多かれ少なかれ、ブレイクのような選手は存在する。

接種が進んでいる「アメリカの選手たちは……?」

 ワクチン接種が進んでいる米国は、多くの選手が3月中旬すぎから接種を開始している。

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