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戦力に劣るリーズがなぜプレミア中位に? ビエルサの“独自戦術”を愛弟子が詳細解説【前半戦総括】
 

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赤石晋一郎

赤石晋一郎Shinichiro Akaishi

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posted2021/02/20 11:01

戦力に劣るリーズがなぜプレミア中位に? ビエルサの“独自戦術”を愛弟子が詳細解説【前半戦総括】<Number Web> photograph by Getty Images

マンチェスター・ユナイテッド戦で、厳しい表情で指示を出すビエルサ

 パシージョには大きく分けて2つの方法(図参照)がある。

(1)1本のパスで相手ラインを突破できるパシージョ。

(2)受け手がファーストタッチで突破できるパシージョ。

 荒川が解説する。

守備ラインを突破するための手段がパシージョ

「相手の守備ラインを突破するための手段がパシージョなのです。守備ラインとはFWからDFまでの3ラインもしくは4ラインによって、守備のプレッシャーをかけてくるそれぞれのラインのことを指します。(1)の方法では受け手が相手ラインの裏側にポジションを取るという動きを行い、パスの出し手は相手選手間の空白を見つけてライン裏にパスを送り込みます。(2)では受け手は相手選手と同じライン上(並行)にポジションを取り、パスの出し手はワンタッチで前に進めるようなパスを送る。(1)においても(2)においても、図にあるように守備の選手が『相手選手』と『ボール』を同時に見ることが出来ない位置にポジションを取ることがパシージョでは重要となります」

 パシージョ(1)はSBのエイリングがよく見せる動きといえるだろう。GKやCBがボールを持った瞬間、エイリングは相手FWによる守備ラインの後ろに走り出す。ボールホルダーはその動きに合わせてボールを送りリーズの攻撃を前に進めるのである。

 パシージョ(2)の典型例が開幕戦のリバプール戦で、サッカーファンを驚かせたリーズの1点目のシーンに見ることが出来る。MFフィリップスがボールを持った瞬間、左に大きく開いていたFWハリソンがSBと並走する形で走り出す。このときにポイントとなるのがSBのやや後ろに位置するハリソンのポジショニングだ。フィリップスからのロングボールを受けたハリソンはワンタッチで最終ラインの裏を取り、ドリブルで切り込んでゴールを奪った。

 リーズの選手たちが絶えず激しく動いているのはパシージョを作るためのポジション取りのためなのである。

サイド、門、クロス、3つのパシージョとは

 更にパシージョには3つの種類があると荒川はいう。この3種類については、荒川が独自に分類したものとなる。

【次ページ】 パシージョのコースは無限に作り出せる

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マルセロ・ビエルサ
リーズ
荒川友康

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