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【春高バレー】お菓子の食べ過ぎで体重100kg超? 東福岡エースの覚醒を信じ続けた仲間たちの“粘り”
posted2021/01/12 17:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
1月10日、春高バレー男子決勝。
最後の1点を決めるのは俺だ、とばかりに、トスを呼ぶ声が響く
「持って来い!」
東福岡のエース・柳北悠李の声に2年生セッターの近藤蘭丸も応える。
「あの場面は悠李さんしかいないと思った。悠李さんに最後は決めてもらいたかったし、悠李さんの得点で日本一になりたかった。どんなパスが来ても、最後は絶対、悠李さんに上げようと決めていました」
高々と上がったトスを、豪快に打ち抜いた柳北のバックアタックが決まり25-19。東福岡が優勝を決めたその瞬間、ただその映像だけを見れば「やはり最後は頼れるエースが決めた」と思う人も多いだろう。
確かに、連覇を遂げた2015年、16年を含めたこれまではそうだった。だが、5年ぶりに頂点に立った今大会は少し、いや、大きく違う。藤元聡一監督は、噛みしめるように言った。
名将の心が折れかけた理由
「春高は3年生の大会。意地や魂、感謝、そういうものを全部持った3年生の強い背中を1、2年生が追って行く。今まではそうやってきたし、そのうえでこれがダメだったらこのルート、こっちのやり方もある、と頂上へ登るためのルートが何個もあったんです。でも今年はそうじゃない。
肝心のエースが引っ張るんじゃなく、周りの3年生や2年生からケツを叩かれ、嫌々登ってくる。手を尽くして、すべて尽くして万全だと思っても裏切られる。正直、僕も心が折れかけたことがありました」
2011年に春高が1月開催へ移行して以降、3度も春高を制している名将の心をも折る問題児。それが柳北だった。