バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川祐希の言葉と行動から感じる“成長“「2021年は希望の“種”になれるように」の真意
posted2021/01/09 17:01
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Powervolley Milnano
「希望の“希”です」
今年1月4日、イタリアからリモート会見に臨んだ日本代表のエース・石川祐希(パワーバレー・ミラノ)は、2021年のテーマを漢字1文字で表してほしいと求められ、「希」の1字を書いた。
「2020年は誰もが予想していなかった状況になり、世界中のたくさんの人々がつらい経験や苦しい思いをしたので、2021年は希望があふれる年であってほしいなという思いを込めて、希望の“希”を選びました。僕自身、プロアスリートとして、“希望の種”になれるような年にしたいなと考えています」
自身も苦しい経験をしてコートに戻ってきた石川が発する“希望”という言葉には重みがあった。
コロナ陽性、発熱は39度まで上がった
約1カ月前の12月7日に、イタリアバレーボール連盟により義務付けられている新型コロナウイルス感染症の検査を行った際、石川は陽性と判定された。検査の時点ではまったく症状はなかったが、その日の夜から倦怠感などの症状があらわれ、イタリア政府保健当局、医療機関の指導のもと、自宅療養に入った。
石川は昨年8月から、『僕たちが今、できること。』と題して、医師の監修のもと、感染予防を徹底しながらバレーボールを楽しむためのガイドブックを作成し、部活やクラブチームなどでプレーする全国のバレーボール選手に無償配布する活動をしてきた。当然、石川自身も感染予防を徹底していただけに、「陽性がわかった時は、どこでかかったのかと、すごく驚きました」と振り返る。
陽性と判明後3、4日ほどは38度台の発熱が続き、39度まで上がったこともあったという。3日以上も高熱が続くというのは身体的にも精神的にも厳しい。しかも海外で、たった1人の部屋で耐えなければならなかった。
「高熱が出た時は、この先どこまで症状が出続けるのだろうとか、あとどれくらいで回復するんだろうということがまったくわからなかったので、非常に不安でした」と当時の恐怖を明かした。
幸いその後、熱は下がったが、咳や味覚・嗅覚の異常が生じたという。