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【記録で12球団総括】大野雄大は凄いがフル回転しすぎ? “勝利の方程式”確立の中日、2021年が勝負の年なワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/12/24 11:05

【記録で12球団総括】大野雄大は凄いがフル回転しすぎ? “勝利の方程式”確立の中日、2021年が勝負の年なワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2020年はまさにフル回転という印象だった大野雄大。ドアラも大喜びする活躍を見たいものだ

R.マルティネス 40試2勝0敗 21SV 7HD 40回 率1.13
祖父江大輔 54試2勝0敗 3SV 28HD 50.1回 率1.79
岡田俊哉 29試2勝2敗 3SV 3HD 24回 率4.88
福敬登 53試5勝5敗 2SV 25HD 50.2回 率3.55
谷元圭介 36試1勝3敗 0SV 13HD 30回 率3.60
又吉克樹 26試4勝0敗 0SV 7HD 26回 率2.77
藤嶋健人 26試1勝0敗 1SV 3HD 25.1回 率3.91
木下雄介 18試0勝0敗 1SV 0HD 17.2回 率4.08

 クローザーのライデル・マルティネスは160km/hを超えるうなりを上げるような速球と、高速フォーク、チェンジアップで打者を圧倒。おそらくリーグでもっとも攻略しにくいクローザーだった。

 祖父江と福は30ホールドポイントで並び、最優秀中継ぎ投手のタイトルを分け合った(ヤクルトの清水昇も受賞)。また日本ハムから移籍して以降低調だった谷元、通算100ホールドを達成しエチル又吉もまずまずの働きだった。ただし中日の救援陣はやや中堅、ベテランが多い。若い救援陣の台頭が望まれる。

投手優位のナゴヤドームで打線は厳しい

 率直に言って、中日の打線はそれほど期待できない。

 ヤクルトの神宮球場とは対照的に、ナゴヤドームはリーグ随一の「ピッチャーズパーク」だ。

 本塁打のパークファクターは、セ・リーグ最低の0.78。めったにホームランが出ない球場なのだ。だから好投手が育つともいえるが、打線はいつも厳しい。

<今季中日のRC上位9人(Run Create 打撃面の総合指標)>
1大島洋平71.28
(462打146安1本30点16盗 率.316)
2高橋周平59.54
(394打120安7本46点1盗 率.305)
3ビシエド57.85
(409打109安17本82点3盗 率.267)
4京田陽太47.18
(442打109安5本29点8盗 率.247)
5阿部寿樹45.74
(421打108安13本61点2盗 率.257)
6アルモンテ36.71
(214打63安9本29点1盗 率.294)
7木下拓哉31.06
(251打67安6本32点0盗 率.267)
8福田永将22.71
(195打48安5本24点0盗 率.246)
9平田良介19.16
(166打39安3本17点0盗 率.235)

 RCは「打点」に近い、積み重ねタイプの数値である。今季は試合数が少なかったために、RCの数値も総じて下がっているが、それでもセ・リーグ1位のヤクルト村上宗隆は103.28、各球団の主軸は90以上である。一方で中日の1位である大島のRCは71.28、本塁打最多はビシエドの17本、数字的に見ると迫力に欠ける打線だ。

 またチームのRC1位が、中軸打者でなくリードオフマンの大島であることも象徴的と言える。このチームのオフェンスは出塁して“手数”を多くして、こつこつと走者をかえしていく戦法を取らざるを得ないのだ。大島に加え、高橋、阿部、京田などの刻むタイプの打者の連携で得点機を作り、ビシエドが返すというパターンである。

ビシエドの勝負強さ、一塁守備はチームを救った

 ダヤン・ビシエドは17本塁打だがリーグ4位の82打点、勝負強く広角打法のビシエドは中日にふさわしい中軸だろう。一塁守備では巧みなミット捌きで何度かピンチを救った。MLB時代から評価が高い素材だったが「自己管理ができない」と言われていた。それでも今や不動の4番打者だ。10月28日の阪神戦で打球にダイビングして負傷し、打点王のチャンスを逸したが、来季も信頼できるだろう。

 ソイロ・アルモンテはスイッチヒッターで、広角打法ができる中日向けの打者だった。NPB3年間の通算打率は.316と優秀だったが、ここ2年けがに泣いて、契約解除となった。

【次ページ】 主力が20代後半~30代だからこそ来季が勝負

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