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フラメンゴにクライフ流を注入した
名将の退団は、本田圭佑にも影響?

posted2020/07/24 11:30

 
フラメンゴにクライフ流を注入した名将の退団は、本田圭佑にも影響?<Number Web> photograph by AP Photo/Leo Correa/AFLO

リオ州選手権を制覇し、胴上げされるジェズス監督。ベンフィカへの帰還はブラジルサッカーに大きな影響を及ぼしうる。

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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 ブラジルでこれほど多くのタイトルを獲得し、これほどファンから敬愛された監督はテレ・サンタナとチッチ以来だろう。

 テレ・サンタナは1982年と1986年のワールドカップ(W杯)でブラジル代表を指揮し、サンパウロを率いて1992年から2年連続でクラブ世界王者。チッチは、コリンチャンスを指導して2012年にクラブ世界一。2016年からブラジル代表監督を務める。

 その2人に並ぶのが銀髪のポルトガル人、ジョルジ・ジェズスである。

 苗字はイエス(キリスト)を意味する。今月24日で66歳になるが、エネルギッシュで若々しい。

 2009年から2015年までポルトガルの名門ベンフィカを率いてリーグを3度制覇し、ヨーロッパリーグで2度準優勝した名将は、昨年6月、リオに舞い降りた。ファン総数が推定3300万人という超人気クラブ・フラメンゴの監督に就任したのである。

クライフを信奉した超攻撃スタイル。

 フラメンゴは1980年代前半にジーコが中心となって黄金時代を築いたが、その後やや低迷していた。その入団会見でジェズス監督は「私が目指すのは、ヨハン・クライフが志向した攻撃的スタイル」と説明。「勝つだけでは満足しない。スペクタクルを披露しながら、すべての大会でタイトルを目指す」とも言い放った。

 説明不要かと思うが、クライフは現役時代、創造性豊かなテクニシャンでアヤックス、バルセロナ、オランダ代表などで中心選手として活躍した。引退後、指導者となってからはバルセロナにアグレッシブで美しいプレースタイルを植え付け、1990年代前半にスペインリーグを4連覇し、欧州チャンピオンズカップ(現在の欧州チャンピオンズリーグ)でも頂点に立ってその後の隆盛の礎を築いた。

 そのクライフを信奉するジェズスはフラメンゴに哲学を植え付けた。試合開始直後から高い位置で強烈なプレスをかけて相手ボールを奪い取ると、若手ボランチのジェルソンが攻撃の起点となり、驚異的なスピードの持ち主ブルーノ・エンリケらがサイドを抉って決定機を作り、天性のストライカー、ガビゴールがシュートを叩き込む。

 先制しても、攻撃の手を全く緩めない。南米流に「時間稼ぎをして試合を終わらせよう」などとは考えず、最後の最後まで攻撃し続ける。宣言通りのスタイルを貫いたのである。

【次ページ】 クラブW杯ではリバプールと死闘。

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