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ベイスターズ先発陣躍進の裏に、
女房役“トバさん”の内助の功。 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2020/07/18 11:40

ベイスターズ先発陣躍進の裏に、女房役“トバさん”の内助の功。<Number Web> photograph by Kyodo News

戸柱(左)は入団5年目の30歳。ここ2シーズンは出場機会を減らしていたが、今季は若手の平良をうまくリードをするなど、存在感を発揮している。

磨き続けたフレーミング技術。

 また戸柱特有のフレーミング技術との相性が良く、左右の外角低めをワイドに使う平良にとってこれ以上の援護はない。フレーミングといえば今季のキャンプ、研修のためDeNAの練習に参加していたアリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下の監督、コーチから戸柱は「ひとりだけ違う」と絶賛され、あらためて指導を受けている。

「今までフレーミングに関して話をする機会がなかったので、とても有意義でしたね。やってきて良かったというか、間違いではなかったと確認できましたから」

 フレーミングとは、ストライクを確実にストライク判定に、ボールをストライク判定に変える捕手の技術のこと。戸柱のそれは、ほとんどが独学だという。「キャッチングは下手で、低めのストライクをボールにしてしまうぐらいでした」という学生や社会人時代、冬になるとピッチングマシーンにひとり向き合い、数えきれないボールを受けつづけ磨き上げた努力の結晶である。

「これまで半信半疑だったというか、今回説明を受けたことで、確信へと変わりましたね。効果的に使えばピッチャーの失点もかなり減ることはデータでもわかっていますし、今はもう迷いなく思い切ってやっていますよ」

 大胆に正確に。厳しいコースをゾーンに収め、リズムを崩さずピッチャーにテンポを作り出す。

「ただ大事なのはそのコースに投げてくれるピッチャーがいるから。そこですよね」

 戸柱は、そう言い納得した表情を見せた。主役はあくまでもピッチャーなのだと。

2年前、平良につけてしまった黒星。

 振り返れば2年前の5月27日のヤクルト戦で戸柱は平良と初めて組んだものの、4失点を喫してしまい黒星をつけている。このときのリードは一部で批判の対象となり、奇しくもその後、入団以来レギュラーだった戸柱はファームへ落ち、昨季後半までつづく長く苦しいトンネルに入っていった。

 その観点からすれば、平良とのバッテリーは捲土重来を期す大事なものだったのではないだろうか。

「そうですね。自分が足を引っ張って失点したこともあったので、もう同じミスはできないという思いはありました。僕が間違いを犯すとピッチャーへの影響が大きいですからね。最近、あらためて強く思うのは、こっちが(サインを出すため)指を動かしてゲームに入るわけじゃないですか。これは自分ひとりの問題ではないということです。ピッチャーの野球人生というか、しっかり準備をして支えなくちゃいけないなって」

【次ページ】 ピッチャーの人生を背負う。

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