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ベイスターズ先発陣躍進の裏に、
女房役“トバさん”の内助の功。 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2020/07/18 11:40

ベイスターズ先発陣躍進の裏に、女房役“トバさん”の内助の功。<Number Web> photograph by Kyodo News

戸柱(左)は入団5年目の30歳。ここ2シーズンは出場機会を減らしていたが、今季は若手の平良をうまくリードをするなど、存在感を発揮している。

「いいところで1本打てればいい」

 戸柱もまた進化を期し、日々を過ごしている。打撃に関しては打率2割前半と数字的には苦しんではいるものの、得点圏打率では3割を超え、すでに6打点を稼いでいる。2017年に出場112試合で52打点をマークしたクラッチヒッターぶりは徐々にではあるが戻ってきている。

「去年あたりから強く意識しているのは、どんなときでも自分のスイングをすること。まだ打率は上がっていませんが、いいところで1本打てればいい、という姿勢で挑んでいます」

 昨年のオフから自粛期間にかけて、徹底的にバットを振り込み、体力強化のトレーニングに明け暮れた。また、新たにヨガも練習メニューとして採り入れるようになったという。

「以前から体が固いこともあって、自粛期間中は朝・晩とやっていましたね。以前、三嶋(一輝)がピラティスを始めたと聞いてその効果を尋ねてみると柔軟性が高まり、効率的な体の使い方ができるようになったと。実際の効果ですか? おぼろげではありますが、シーズンに入ってから疲れの残り方が変わりましたね」

 今後ペナントは13連戦も含む過密スケジュールとなり、夏以降は厳しい戦いが予想される。大事な時に向け、備えに余念はない。

平良の長所は「高さを間違えない」ところ。

 そんな戸柱が今季、際立った存在感を示しているのが、平良拳太郎とのバッテリーだろう。ここまで平良は4試合を投げ、いずれもクオリティ・スタート(6回以上3自責点以内)を達成し、防御率は1.08。申し分のない数字を残しており、戸柱はキャッチャーとして外角低めへと丁寧にボールを導き、時としてインサイドや高めなどバリエーション豊かなリードで相手バッターを翻弄している。

「平良とはこの数年ほとんど組むことはなかったんですけど、投げているときはベンチからしっかり見ていましたし、試合後は投球の映像を見ることを習慣づけていました。また、実際にどんな感覚で投げているのか、あるいはあの場面でどういうボールを使ったのかなどコミュニケーションは常にとっていたんです。ですから開幕前の練習試合で久々に組んだときも問題なくすんなりと入れましたね。あらためて受けて思ったのは、コントロールが良く、こっちがイメージしたリードの通り投げてくれるので、本当にやりやすいということです」

 そう言うと、戸柱は一呼吸おいて平良の最大の長所を教えてくれた。

「間違えないんですよ」

 たしかに逆球はほとんど見られないが「間違えない」とはどういうことだろうか。

「コースを間違えたとしても、高さを間違えない。高さを間違ったとしても、コースにしっかりと来ているんです」

 つまり、たとえ甘めにボールがきたとしても、大きな火傷をしないということなのだろう。ランナーは出すものの平良の失点の少なさを見れば、それもうなずける。

【次ページ】 磨き続けたフレーミング技術。

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