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ユース選手の将来を決める13本の動画。
ガンバが考えた今どきのスカウティング。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by(c)GAMBA OSAKA
posted2020/06/03 19:00
6月1日に練習を再開したガンバユース。本格的な練習メニューまで、段階的に上げていく。
なぜあえて5分のハイライト動画を作ったのか?
ユースの監督、コーチングスタッフたちで手分けし、それぞれの特徴が出ている映像を編集。日頃から選手個人と接し、持ち味をより把握している現場の人間にしかできないことである。
数年前のプレーでは意味がない。なるべく最近の試合からピックアップし、1人当たり約5分の動画にまとめた。昨今は映像の編集技術が上がり、試合のダイジェスト版がすぐに流れる時代である。
「いまは皆さん、短い映像に慣れていますから。受け入れる側の大学の方も、いきなり90分のフルマッチを渡されても、最初からすべて見ることに対して拒絶反応を起こすかもしれません。5分のハイライトのほうが、取っ掛かりとしては入りやすいと思いました」
ガンバユースとしては初めての試みとなったが、2週間かけて完成させた。
当初はまったく先の見えない状況だったため、時間だけが過ぎていくことを危惧したのだ。
選手を送り出した、その先まで考えている。
「例年であれば、6月、7月くらいに大学側は選手を選び始めています。もしもこの状況が長引いたとき、そこからあたふたするのはよくないと思いました。選手のことを考えれば、早めに準備したほうがいいだろうと。
仮に大学側から『映像はありませんか』と問い合わせがあれば、出せる状況にしておきたかったんです」
受け身の姿勢ではない。むしろ、積極的に動いている。
5月20日にはTV電話で2回目の進路面談を済ませ、希望する進路が絞られてくると、大学へ5分間のプレー集を送付した。全員が同じ進捗状況ではないものの、相手側から反応があり、映像をきっかけにスムーズに話が進んでいる案件もある。
数々の名手を輩出してきた歴史と伝統のあるガンバユースの看板があれば、それだけで大学のスカウト網に引っかかることも少なくない。ただ、進路のサポートは選手を送り出して終わりではなく、その先まで考えているという。まだまだ伸びる余地のある年代である。ミスマッチで才能をつぶすのは、あまりにも惜しい。
「互いの思いが合致していないと、入ってからが大変です。受け入れ側が求めるポジション、プレースタイルに合った選手のほうがいい。そこは大事にしたいです」