スポーツはどこへ行くBACK NUMBER
ユース選手の将来を決める13本の動画。
ガンバが考えた今どきのスカウティング。
posted2020/06/03 19:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
(c)GAMBA OSAKA
今回のコロナ禍で春以降、スポーツ関連のイベント、大会はほとんど開催されていない。プロや実業団のシニアだけではなく、生徒たちにも大きな影響を及ぼしている。高校野球は春夏ともに甲子園での全国大会がなくなり、高校スポーツの祭典である夏のインターハイも中止された。
部活に青春を懸けてきた生徒たちが悲嘆に暮れるなか、プロサッカークラブのアカデミー(育成)組織で夢を追う高校生たちは不安に駆られていた。
「いつサッカーができるのか。いつ公式戦は始まるのか……」
少数精鋭の軍団とはいえ、全員がプロ契約を結び、トップチームに昇格できるわけではない。特に最終学年を迎える3年生にとって、春から夏にかけては将来を左右する重要な時期。従来ならば、高校年代最高峰の舞台である高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグが4月に開幕していた。
Jクラブのアカデミー組織が参加する各カテゴリーのリーグ戦はプロに評価される場であり、そしてスポーツ推薦を決める大学関係者の目が集まる場所でもある。しかし、そのすべての公式戦が、夏以降に延期されたのだ。
「3年生13人全員のプレー集をつくってほしいと」
各クラブともチームの活動自粛期間に、さまざまな取り組みを行っていた。
ガンバ大阪のアカデミー組織は、トレーニングメニューの指示、メンタル面のケア、さらには進路のサポートに早くから動いた。
4月20日に坪倉進弥アカデミーダイレクター兼ヘッドオブコーチングは、TV電話で選手の保護者を交えた三者面談を実施。全員がトップ昇格の可能性を残している状況ではあるが、次の選択肢についても聞いた。第2希望としてスポーツ推薦での大学進学を考えている選手たちもいる。
「本人たちが希望している大学を把握していないと、話が進みにくいと思いました。三者面談を終えた後、ユースのスタッフに3年生13人全員のプレー集をつくってほしいと伝えました。直近の試合で極力、アングルのいい映像を集めてほしいと」
選手たちが希望する大学などに見てもらうためだ。