“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
興國トリオがマリノスを観察、分析。
“内定先”でのビジョンを描く高校生。
posted2020/03/10 19:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
2月11日、昨季のJ1リーグ王者である横浜F・マリノスが驚きの発表をした。
大阪・興國高校のGK田川知樹、DF平井駿助、MF樺山諒乃介が来季加入内定――まだ高校3年生になる前という早い段階での発表である。
Jリーグの長い歴史において、同じ高校(高体連チーム)から1つのクラブに3人以上の選手が同時に加わるのは、実に25年ぶりのことだ。あの市立船橋高校の選手権初優勝メンバーであるDF茶野隆行、鈴木和裕、FW森崎嘉之が揃ってジェフユナイテッド市原に加入した1995年以来である。
興國が理想と掲げるビジョンは横浜FMのサッカーとリンクする部分が多い。GKからのビルドアップ、サイドバックは高い位置を取るだけではなく、3トップの両ウイングが幅をとって空けた中央のスペースに侵入することを求められる。縦への素早いポゼッションで相手をラインブレイクしていくサッカーを志向しているのだ。
横浜FMは2018年にアンジェ・ポステコグルー監督を招聘し、アタッキングサッカーを浸透させ、就任2年目で王座に就いた。3年目以降もよりこのサッカーを進化させていくという明確な方向性が定まっている。
となると、新加入選手の顔ぶれは、その方向性にマッチするプレーヤーを揃えることになるため、同じビジョンを持った興國から選手が加わることは、筋道として合致する。
高校生はマリノスをどう見ている?
ビルドアップがうまく両足で蹴れるGK田川、高さ・スピード・視野を持ち合わせ、キックが魅力のCB平井、高い足元の技術だけでなく、スピードとアジリティーに優れ、攻撃的なポジションならどこでもできるMF樺山の獲得は、来季以降の補強ポイントにもリンクしているのだ。
そこで興味が湧いたのが、J1王者から白羽の矢が立った高校生たちはどのような考えを持って横浜FM入りを決断したのか、ということである。Jクラブ目線での獲得意図はすでに多くで語られているため、今回は高校生の彼らが選手目線でマリノスをどう分析しているか。そして高校生活最後の1年をどう過ごし、どうやってマリノスの主軸になっていくか。この2つの質問を軸に話を聞いてみた。
そこには面白い考察と、彼らが選ばれた理由があった。