“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
興國トリオがマリノスを観察、分析。
“内定先”でのビジョンを描く高校生。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/03/10 19:00
興國高校・内野智章監督(上)と写真に収まる平井、田川、樺山(左から)。2年生トリオは早々にマリノス内定を勝ち取った。
樺山「マリノスはリスクを恐れない」
まず議題に上ったのが、横浜FMの最大の魅力とも言える破壊力抜群の攻撃力について。昨シーズンはリーグ最多となる68得点を記録し、GKやCB、そしてダブルボランチから供給される縦パスに両サイドバックやトップ下が絡み、3トップの得点力を最大限に引き出す。このスタイルに3人はどんな印象を持っているのか。
樺山:攻撃的なサッカーで、Jリーグには少ないタイプのチームだと思っています。後ろからしっかりとつないで、いざという時の前への迫力は他のチームと違う。普通、こういうサッカーをしているチームは意外とボールを回すことに固執してしまうことが多いと思うのですが、マリノスではリスクを恐れないというか、相手の前からのプレスがかかっているときはシンプルに飛ばすパスを出して、ミドルゾーンからファイナルサードにかけて縦に速いサッカーを展開する印象を持っています。
田川:後ろの選手が簡単に蹴るのではなくて、つないでいく。GKもビルドアップ能力が高い選手が多く、そこで全員が繋げるのは大きいと思います。その分、運動量がかなり求められるサッカーですよね。ポゼッション重視というより、手数をかけずにボールを運ぶことを意識しているサッカーだと思うので、頑なにボールを後ろで回すことはない分、判断力の早さ、技術が求められると思います。
平井:CBはただ(ポジションを)落としてボールを受けるのではなく、前に向く角度が大事にしている。前に早くボールをつけやすい立ち位置にいることが求められ、できるだけ高い位置でのプレーしている印象です。
3人が口にした「守備」での刺激。
すべてのポジションにおいて、最優先は常に前にベクトルを向けること。その攻撃的な姿勢を支えているのが、組織的かつハードワークを求められる守備だ。横浜FMはその守備が特徴的で、それは彼らの目にも刺激的に映っているようだった。
樺山:守備の部分はマンツーマンで人についていく。だから、前線から中盤に落ちた相手選手にそのままマークしていた選手がついていき、背後にできたスペースをボランチやFW、サイドの選手がカバーしていく。個の強さでやっているように見えますが、実際にはお互いがカバーしあっていて、チームとして戦っている印象があります。だからこそ、昨年チャンピオンになれたのだと思います。
平井:前からハメにいって、後ろも同数で守るという特殊な守備をするチーム。CB視点からしたら、相手の前の選手が(ポジションを)落とす動きをしたら、基本はマンマークなので付いていくのですが、CBとCBが入れ替わることもある。そういうところの運動量も求められます。
田川:GKは高めのポジションを取るようにしています。味方が攻めている時には残っている相手オフェンスに対して後ろからマークをつけていく。だからこそボールを失っても、数的同数で対応できるようにして、その後ろをGKがカバーして数的優位を作り出すイメージでやっていました。