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ラグビーW杯の功績を風化させない!
元日本代表が子供達に託したボール。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMasataka Tara
posted2020/03/08 20:00
子供達にラグビーボールを配る小野澤宏時(左)と菊谷崇。ラグビーへの熱を絶やさぬよう、「たくさん汚してね」と語りかける姿が印象的だった。
サッカーボールでトライする子供達。
「ラグビーボール日常化作戦」を発案したのは、あるトップリーグチームのスタッフだ。
東芝ブレイブルーパスで採用・普及を担当している望月雄太氏。同部で13年間プレーした名選手で、こちらも元日本代表だ。
望月氏は昨秋、公園で目にした光景が忘れられない。当時世間は日本代表が史上初の8強進出を決め、空前のラグビーブームに沸いていた。
「東芝の採用・普及活動をしながら、どうすればこの盛り上がりを一過性にさせず、レガシーとして残していくのかを考えていた時でした。公園で、サッカーボールでラグビーをしている子がいたんです。『リーチ!』と叫びながら、サッカーボールでトライをしていました」(望月氏)
あれが本物のラグビーボールだったらいいのに。当時はそんな感慨を抱くのみだったが、後日、小学生の息子の言葉に気付かされた。
「息子が公園にラグビーボールを持っていったら取り囲まれた、と。それで『そのラグビーボールで遊ぼうよ』と言われてみんなで遊んだ、というんです。ラグビーボールがあれば人が集まってくるんだと教えてもらいました」
想いをハッシュタグに乗せて。
ラグビーボールには子供を惹きつける力がある。どうにかして楕円球を贈れないか。
しかし日本には爆発的に増えた子供達のラグビーボールに対する興味、関心に応えるだけの体制がなかった。今も多くの大型スポーツ用品店にはラグビーの専門コーナーがない。
そこで望月氏は使用済みのボールに着目した。以前から東芝ラグビー部で小学校へ使用済ボールを配っていたこともヒントになり、自身のSNSで、こう発信した。
「ラグビーが認知されてきた今だからこそ、ラグビー関係者・ファンの皆様にお願いです」
「使用済みや、家で眠ってるラグビーボールを、地域の学校や公民館・児童館に寄付して、子供達が日常的に遊ぶツールとして浸透させ、W杯のラグビー熱を繋ぎませんか?」
日常にラグビーボールが溢れていれば、ラグビーが忘れられることはないのではないか。
そんな想いを「ラグビーボール日常化作戦」というハッシュタグと共に発信すると、賛同の大反響を呼んだ。