F1ピットストップBACK NUMBER
レッドブル・ホンダの究極の目標。
史上最強の王者に挑むシーズンに。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2020/02/23 20:00
テスト初日、話し合うフェルスタッペン(右)と田辺。この日は4番手タイムを記録した。
レッドブルとの連係も格段にアップ。
だが、ホンダとレッドブルにも王座奪還の手応えはある。昨年のレッドブル・ホンダはパートナーを組んでまだ1年目だった。
開発部門のレッドブル・テクノロジーを軸として、レッドブルとトロロッソ(今年からアルファタウリに改名)の2チームにパワーユニット供給を開始したわけだが、レッドブルの'19年のマシン開発はホンダのパワーユニット搭載を発表する以前から始まっていた。
つまり昨年のレッドブルはある意味、すでに開発していたマシンを可能な限りホンダのパワーユニットに適合させたものだった。その状況でも、3回のレースでメルセデスを上回って優勝できた。
それが今年はかなり早い段階から両者が膝を突き合わせて話し合い、マシンが開発されている。昨年とは大きな違いだ。
「パワーユニットの基本骨格などのコンセプトは変えることはありませんでしたが、レッドブル側から『どうありたいか』という要望を聞いて、できる限りパッケージングの最適化を図ってきました。
車体側がやりたいことが、パワーユニット側にとっては信頼性の観点からやりたくないことだったりすることがあり、そのあたりをきちんと時間をかけて話し合いながら開発を進めてきました」(田辺)
フェルスタッペンの手ごたえ。
そして今年もステアリングを握るのは、次期チャンピオン候補と言われるマックス・フェルスタッペンだ。
テストが解禁された2月19日、セッション開始とともにコースインしたフェルスタッペンは168周を走行。この日テスト走行を行った15人のドライバーの中で最多の周回数だった。走り終えたフェルスタッペンは、ホンダの新しいパワーユニットRA620Hが搭載されたニューマシンRB16のファーストインプレッションを次のように語った。
「マシンはサーキットのどこでも速かった。信頼性もさらに向上しているように思えるし、すべてが非常にポジティブだ。ホンダのパワーユニットもうまく機能していた。トルクのデリバリーも問題ない。それが僕たちが一番確認したかったことだ」