F1ピットストップBACK NUMBER
レッドブル・ホンダの究極の目標。
史上最強の王者に挑むシーズンに。
posted2020/02/23 20:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
2月19日、スペイン・バルセロナ郊外にあるカタロニア・サーキットで、今年初のF1のテストが始まった。
「テストが始まる前は、何にドキドキするかという違いはありますが、いつも緊張します」
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、テストが解禁される前の心境を、そう語った。
田辺がF1に復帰した2018年は、ホンダにとってもパートナーを組む相手がマクラーレンからトロロッソに代わった1年目。久しぶりのF1の現場は戸惑いの連続だった。
2年目の'19年はトップチームのレッドブルと組んだ。常にトップを目指して戦うパートナーとの1年はプレッシャーが大きかったが、結果的にシーズン3勝を挙げ、達成感も大きかった。
絶対王者・メルセデスに挑む。
レッドブル・ホンダは今年さらに前進し、ひとつ上のポジションを目指す。もはや単に表彰台や優勝を狙うだけではなく、王者メルセデスを倒してタイトルを獲得すること。レースを戦う者にとっての究極の目標だ。しかしそれが簡単ではないことは、ホンダもパートナーを組むレッドブルもわかっている。
メルセデスが選手権を制したのは昨年だけではない。'14年から6年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを連覇中の最強王者。両タイトルを6連覇したチームは、70年のF1の歴史の中でもこのメルセデスしかない。
その絶対エースともいえるルイス・ハミルトンが今年タイトルを防衛すれば、ミハエル・シューマッハーが持つ王座7回の史上最多記録に並ぶ。もしそうなれば、開幕前時点で通算84勝のハミルトンは、やはりシューマッハーが持つ史上最多勝利数91勝をも更新することだろう。
つまりホンダが今年挑もうとしている相手は、F1史上最強のライバルといっても過言ではない。