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選手から監督へ。3シーズン目を迎える
井口資仁が目指す監督像。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/02/12 11:30

選手から監督へ。3シーズン目を迎える井口資仁が目指す監督像。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

不調でも、好調でも理由を聞く。

 監督になって辛いのは、選手をファームに落とすときです。

 必ず選手を監督室に呼んで、自分の口で直接選手に伝えて、しっかりと課題を与えて、ファームに行ってこいと言うようにしています。現在チームに70人の選手が在籍する中で、29人しか枠がない一軍に誰をあげるか、彼らをどうやって使うかは、やはりとても悩みます。

 調子が悪い選手に対しては、まず彼らの意見を聞くようにしています。自分の思いを伝えたり、こうしたらいいとアドバイスをするのは簡単ですが、それだと押し付けるだけになってしまう。今どういう状態なのかを聞いて、把握して、それにしっかり答えられるようなコミュニケーションをとることは大事だと思います。同じように調子が良い選手にも、なぜ今好調なのか、その理由を聞くようにもしていますね。

 その上で若い選手たちには自分がやってきたことをきちんと伝えていきたい。

負ける試合は必ずある。腹を括ればいい。

 例えば、自分も入団1年目の頃は、ただやみくもに打席に立っていたと思うんですよ。4打席あったら、4打席全部打とうとがむしゃらになっていた。

 だけど、打率3割のいいバッターだって、7割は失敗するわけじゃないですか。そう考えると、気持ちに余裕ができる。

 4打席のうち、1個はヒットを打って、1個フォアボールをとったら、3割3分3厘になりますよね。もちろん打てそうなピッチャーだったら3本打てばいい。30歳を過ぎた頃から、僕はそうやって計算をしながらプレーしていました。監督をしていても、負ける試合は必ずある。大事なのは負け方で、競っていて負ける時もありますが、大敗をしてもいいから戦力を温存しないといけないときもある。そういうときは素直に負けてすみません! と腹を括ればいい。バッティングも一緒です。

【次ページ】 喜怒哀楽を出さないことも重要。

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