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東山が6年ぶりに掴んだ春高の舞台。
世界基準のバレーで目指す日本一。
posted2019/12/30 09:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Sankei Shimbun
連覇達成の難しさ。多くのアスリートが口々にするその課題は、学生スポーツも同様だ。2020年の年明け間もなく開幕する、全日本バレーボール高等学校選手権大会。「春高」と呼ばれる、高校生バレーボール選手にとって最も華やかな大会。
女子は3連覇を狙う金蘭会が大阪代表として出場を決めるも、男子は連覇を目指した京都・洛南が東山に敗れた。
京都代表として6年ぶりの出場となる東山は、国体も制し、今大会の優勝候補と名高い。だが、その道のりはそれほど安易なものではない。何しろ、全国へとたどり着くまでも、実に困難な道のりを歩んできたのだから――。
「京都の予選が一番嫌でした」
さかのぼること1年。
京都代表をかけた2018年春高予選。戦前の大方の予想は「おそらく洛南が勝つだろう」。
だが、その“おそらく”に最後までうぬぼれることなく、もしかしたら春高本番よりもその日を緊張感を持って迎えたのが、洛南の選手たちだった。当時、その京都予選を制し、優勝候補の大本命として出場した春高も制した洛南の主将、山本龍はこう言った。
「何が嫌って、京都の予選が一番嫌でした。どんな相手とやるよりも、東山と戦うのが一番しんどい。春高で優勝候補と言われるプレッシャーよりも、東山と戦う緊張感のほうが大きかったし、何より、もう東山と戦わなくていいんや、と思うとそれだけで気持ちが楽になる。それぐらい、とにかく嫌な相手でした」
春高だけを見れば、確かに京都代表として5年連続で出場したのは洛南だ。だが、インターハイに目を向ければ、'16、'17年県予選は東山が洛南に勝利、京都代表として出場した'16年には3位に入るなど、お互いを「一番嫌な相手」と認め合うライバルだった。全国大会出場のためには乗り越えなければならない壁であるのは間違いない。
そして、来春の春高に6年ぶりの出場を決めたのは東山。前回大会でエースとして洛南を優勝に導いた大塚達宣(早稲田大)が言った。
「京都代表として、京都の強さを証明してもらうためにも、東山に優勝してほしいです」