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明治ラグビーに「隙ナシ、油断ナシ」。
崩された“名作”と早稲田のメンタル。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2019/12/04 11:50
25年ぶりの全勝対決となった早明戦。明治大は圧倒的な強さで対抗戦を制した。
南ア戦の日本を見ているよう。
さて、問題は早稲田である。
ゲーム展開、そして選手たちの言葉を総合すると、W杯の準々決勝、日本対南アフリカ戦を連想させた。
前半、スコアの上では競った形で終えた。記者席からは希望が見える。ところが、選手たちは相手の強さ、速さに受け身になっていて、それがボディーブローとなって後半に噴出する――。
おそらく早明戦にも自信を持って臨んだはずで、その分、ダメージは大きいはずだ。フィジカル、そしてメンタリティでも明治に弱みを勘づかれてしまったのだから……。
スタンドオフの岸岡智樹は、秩父宮の薄暗いトンネルで毅然として敗因を語った。
「敗因としては、僕のキックコントロールの精度の悪さが一番響いたのかな、と思います」
FWが劣勢になれば、司令塔SOの役割は大きくなる。負担がかからないよう、「FWに優しいマネージメント」が求められるからだ。
試される「知恵」と「精度」。
タッチキックはより遠くへ。
ハイパントはドンピシャの地点へ。
“Margin of Error”、エラーが許される余地は限りなくゼロに近い状態だ。
ポゼッション、テリトリーの戦略をどう考えていくのか。
準々決勝では日大と京都産業大の勝者と対戦、そこを勝ち抜けば、順当なら1月2日の準決勝で天理大、もしくは帝京大と顔を合わせる。難敵揃いであり、明治との再戦は約束されたものではない。
大本命の明治に対して、早稲田の「知恵」と「精度」が試される師走となりそうだ。
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