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結果より内容重視のアルゼンチン。
コパでメッシ頼みを卒業できるか?
posted2019/06/15 12:00
text by
藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph by
Uniphoto Press
今回のコパ・アメリカは、アルゼンチン代表にとって久々に「優勝候補として参加しない大会」になる。
「久々」がどれくらいを意味するか具体的に言うと、ボリビアで開催された1997年大会以来なので22年ぶりのことだ。当時はダニエル・パサレラ監督が大胆なメンバーの入れ替えを図ったチームで完全に「結果より内容」を重視して参戦し、グループリーグを1勝2分で2位通過したあと、準々決勝でペルーに敗れてあっさり敗退した。
リオネル・エスカローニ監督率いる今回のチームも世代交代のスタート地点にあり、リオネル・メッシ、セルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディマリアといったレジェンドたちと若手を融合させるために今大会を利用し、来年3月から始まるW杯予選に向けてある程度のベースを作ることが最大の目的となる。
実際にメッシも「現在チームは転機にあるので優勝候補ではない」と話し、エスカローニ監督も「我々が今一度強豪となるためにはやるべき仕事がたくさん残されている」と語る。
完全勝利至上主義に苦悩する選手。
1993年コパ・アメリカ優勝以来、実に26年間にわたって無冠の屈辱を味わい続けているアルゼンチン。
代表レベルでのタイトル獲得が容易ではないことは誰もが承知の事実だが、メッシを始めとする世界のトップクラスのスター選手を擁し、2014年W杯、2015年コパ・アメリカ、2016年コパ・アメリカ・センテナリオと3年連続して優勝に王手をかけながらも決勝で敗れたショックはトラウマとなり、国民を苦悶させている。
そのような状況にありながら、「優勝候補ではないから」という理由でアルゼンチンの人々は代表チームがまたもタイトルを逃す瞬間をすんなりと受け入れられるのだろうか。
完全勝利至上主義の気質が根付き、準優勝を祝うことも許されないような国の代表でプレーする選手たちが気の毒に思えてしまう。特に、ここ15年の間、コメディのような監督交代劇が繰り広げられた迷走の時期に、メッシがすっぽりおさまってしまったことが悔やまれる。