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モンストグランプリ2019開幕!
九州・中部予選レポート
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byTadashi Shirasawa
posted2019/05/30 11:00
4月28日の九州予選から始まったモンストグランプリ2019 アジアチャンピオンシップ。中部予選Bブロックでは、プロチームを下して勢いに乗る「どんどんススムンガ」(写真左)が見事に優勝。試合会場は異様な熱気に包まれた。
若いチームが崩れなくなった。
余談ながらA、Bブロックとも決勝で敗れたのは、いずれも全員が10代のチーム。次世代BOXは今年1月に開催された18歳以下対象の全国大会「モンストジュニアグランプリ」の優勝チームであり、Bブロック準優勝の「とぅ☆うぃんくる」は、ジュニアグランプリ決勝大会の出場選手有志が結成した、精鋭集団だ。後者は、バトルRound出場チームを決めるタイムアタックRoundを首位通過しただけでなく、ブロック1回戦では中部地区に2つしかないプロチームのひとつ、「ᎶᏤ」に勝利している。
こうした結果を見ていると、全国一の競技レベルと言われる中部地区で、新たな動きが生まれ始めているのが感じ取れる。
「僕たちはプロとして少しでも多くの人にモンストの面白さや奥深さを知ってもらおうと、動画で自分たちの研究法や攻略法、ピックの基本理論なんかを包み隠さず公開しているし、他チームと食事に行った時にもそのあたりをいろいろ伝えてきました。若い子って以前なら無謀な作戦を採りがちで、たまにしかできないような難しいショットをいかに成功させるかって考え方だったんです。だけど大会本番では緊張から目論見通りに行かず崩れていく、そんなチームばかりでした」(壁ドンズαのリーダー「なんとかキララEL」)
ところが今回は、若いチームが堅い手を確実にこなすようになってきたのだという。
「それでなくても時間はたっぷりある年代ですから、彼らが僕たちの考え方を学んでとことん練習してきたら、強くならないわけがない。ちょっと天狗になって、こっちの手の内を明かしすぎたかな。だけどモンストグランプリ全体のレベルが上がって、僕たち自身の勉強にもなりますから、これまで通りの発信は続けながら、次は彼らを上回れるよう、またいろいろ考え抜きますよ」(なんとかキララEL)
準決勝敗退は壁ドンズαが望んでいたものではないが、結果を受け入れてはいる。
「1戦目はフレンチトーストさんを揺さぶろうと、スピードはあるけどステージ特性への防御力が弱いモンスターを2体選んだんです。リスクはありますが、うちのピックを見た相手が『向こうより早くクリアしなきゃ』と焦って間違ったピックをしたり、ショットをミスしたりするのを狙ったんです。でも彼らはまるで動じず、逆に僕たちの方がショットをしくじって自滅。2戦目は最後の最後に勝負をかけた向こうの戦術がお見事で、いや参りました。どちらも熟考の末のプランで戦ったので、後悔はありません。ただ、僕たちを会場で応援してくれたファンのみなさんに申し訳なくて……。今日は地元愛知はもちろん、わざわざ北海道や沖縄から名古屋まで来てくれた人もいましたから」(なんとかキララEL)