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シミュレーションも抗議も激減。
リーガのVARは成果上々、課題は……。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2019/04/27 17:30

シミュレーションも抗議も激減。リーガのVARは成果上々、課題は……。<Number Web> photograph by Getty Images

VARには、選手が審判に詰め寄る時間をなくすという副次効果もあった。イエローカードも減っている。

対処法はメディテーション=瞑想?

 主審がオペレーションルームと無線でやり取りしている間、あるいはモニターを見つめている間、選手の思考はやがて下されるジャッジに囚われる。

「どちらに有利な判定となるのか。わからないから選手は『ファウルだろ、俺は見たぞ、いや違ったのかも……』と考え始め、迷い、不安が生まれます。それが戻らない集中とともに選手の足枷となり、再開後のパフォーマンスを落としてしまうのです」

 また、PKか否かを主審が判断しかねているときはキッカーが分析麻痺を起こすという。

「どこへ蹴るか考えすぎて頭がパンクし、試合のリズムに戻れなくなってしまいます」

 中断時間の短縮にはレフェリー委員会も努めるだろう。が、優先されるのは判定の正確性なので、劇的な変化は期待できない。

 そこでラミーレスが勧めるのがメディテーションのテクニックを用いた集中力のトレーニングだ。

「ただし、かなり大変です。メディテーションのテクニックはシーズン中休むことなく磨き続けねばならないし、練習中に試合中断のシミュレーションを行なわねばなりません。選手に実習の機会を与えるためです」

 しかし、ラミーレスが先に挙げた問題が全て解決できるなら、試してみる価値はあるだろう。来季はVAR介入からの試合再開直後に強さを見せるチームが現れるかもしれない。

 ちなみに、スペインでは来季から2部にもVARが導入される。

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