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タイブレーク制の導入。~高校野球における投手の過剰負担を軽減する方法は?~
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byTakashi Shimizu
posted2017/07/04 08:00
2006年、早実の斎藤佑樹は、大会通じて歴代1位となる948球を投じた。決勝の駒大苫小牧戦では、延長15回を完投(178球)、翌日の再試合も完投(118球)した。
今年も夏の高校野球の季節となった。沖縄、北海道はすでに開幕、7月になると全国で開幕する。一方、6月13日に行われた日本高野連の技術・振興委員会で、タイブレークの採用をめぐって、来年以降の導入で意見がまとまり、今年11月の理事会で最終的な議論が行われることになった。つまり甲子園でも来年春の選抜大会から導入される可能性が出てきたわけだが、検討されているのは「延長13回から無死一、二塁で行う」という案のようだ。この提案を頭に置いたうえで、タイブレークについて考えてみたい。
導入するとすれば13回から、というのは、過去の延長戦の実例から見て、一応適切な回数と言えそうだ。日本高野連は過去5年間の甲子園での試合、および昨夏の全国の地区大会を調査したらしい。延長戦が15回までに制限された2000年以降、甲子園で13回より長い延長戦をまとめたものが下のデータである。春夏合計で35大会の甲子園で、13回以上の延長戦は18試合だった。単純に平均すると、ほぼ2大会に1試合である。