【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
井上尚弥への注目度、足りてる?
池田純が考えるボクシング人気の鍵。
posted2018/10/16 10:30
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Getty Images
10月7日(日)、横浜アリーナで行なわれた井上尚弥選手とフアン・カルロス・パヤノ選手のWBSSトーナメント、めちゃくちゃすごかったですね!
私は10年くらい前に国体に出場していた井上選手を観に行ったことがあって、大橋秀行会長の隣で密かに観戦していたこともあります。ベイスターズの球団社長をしていたときには、フランチャイズ神奈川の若き世界チャンピオンとして、どこよりも早く始球式で応援したこともありました。
彼の強さはボクシングを超えて一般生活者まで届くほどに魅力的なんです。
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彼の所属する大橋ジムも魅力の1つです。以前NSBCにも登壇してもらった大橋会長は、井上選手のファンクラブを作ってスパーリング見学会を実施したり、自力でFacebookのメッセンジャーを使いながらマッチメークしたりしている。そういった点を含めてみても彼がスターになる要素は揃っていると思います。
ただ少し言うとすればWBSSという、“天下一武道会”とも呼べるこの大会自体がものすごいものなのに、それが日本人にはまだまだ伝わっていない。さらに言えば、井上尚弥自体の強さも伝わっていない。
「70秒KOだ!」と話題になったのは試合後であって、もっともっと試合前から注目が集まっても良かったはずです。フジテレビの瞬間最高視聴率は12.6%と、通常であれば「良い数字」と評価されるのかもしれませんが、もう少し高くてもいいんじゃないでしょうか。
久々のスター誕生に人気が追いついていない。
ボクシングの注目度がまだまだな理由の1つには近年、辰吉丈一郎のようなスーパースターが現れなかったこともあるでしょう。
久しぶりのスター誕生にボクシングファンを超えて、世の中の人まで広がりきっていない。ボクシングはスポンサーがつきにくい競技ですし、ボクシング自体のとっつきづらさもある。階級、団体が増えすぎてチャンピオンが乱立しているのもわかりにくさに拍車をかけています。
おそらく今、40代以上くらいの人はボクシングを観るという文化に触れてきた経験があるでしょう。まずはその人たちをボクシング文化に呼び戻す必要があります。その上で若い人を始め、今まで接点のなかった新しいファンを獲得する必要もある。