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大学野球の走塁タイムは大谷級!?
ドラフト候補の全力疾走は必見だ。
posted2018/05/14 07:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Tadashi Hosoda
5月5日と7日、観戦に訪れた大学野球で素晴らしい走塁を2つ見た。まずは5日の首都大学リーグの桜美林大対帝京大だ。同リーグ戦は翌6日に東海大が通算70回目のリーグ優勝を飾り、帝京大と桜美林大はすでに5、6位が確定していた。
そんな状況でも帝京大は、筆者が俊足の基準にしている打者走者の「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を7人(13回)、桜美林大は6人(11回)がクリアしたのだ(以下「タイムクリア」と表記)。
当初、この日の観戦目的は第1試合の筑波大対日体大戦、第2試合の武蔵大対東海大戦だった。第1試合ではドラフト1位候補、松本航(日体大4年)が2安打完封、第2試合では原田泰成(東海大3年)が来年のドラフト候補にふさわしい力投で6安打、1失点完投を成し遂げた。
ここまでバックネット裏には学校関係者以外にも一般の野球ファンやプロ野球のスカウトが散見できたが、第3試合を迎える頃には学校関係者やビデオ撮影やスピードガンでピッチャーの球速を計測する偵察隊しかいなくなっていた。
右打者が多くても次々とタイムクリア。
しかし、1、2回に両大学の選手が次々とタイムクリア。特に帝京大は7回まで最低1人がタイムクリアを果たした。8回に途絶えてしまったが、9回には1人が達成している。全イニング達成はこれまでの記憶になく、筆者もイニングが進むごとに気持ちが高まった。
帝京大のスタメンは左打者4人、右打者5人だった。タイムクリアだけを見れば、右打者が多く不利と言える。しかし左打者を6人以上並べた場合、左投手に苦しみがちだ。この日の試合を戦った6校はすべて左打者と右打者のバランスが5対4、もしくは4対5だった。その中で帝京大が7人13回、桜美林大が6人11回、タイムクリアを達成したのは見事だ。
なお帝京大では草野里葵(1年)が4打数すべてでタイムクリア。4.25秒で一塁に到達した打席もあった。また6番星田嶺央(3年)はレフト前ヒットで4.32秒、センター前ヒットで4.38秒という好記録を残している。三塁打では、11.30秒で三塁到達した。