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重力に逆らって登れ! 壁面の頭脳戦。
「スポーツクライミング」の楽しみ方。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byJMSCA/アフロ

posted2018/03/01 11:00

重力に逆らって登れ! 壁面の頭脳戦。「スポーツクライミング」の楽しみ方。<Number Web> photograph by JMSCA/アフロ

2018年のボルダリングジャパンカップ女子で優勝した野口啓代。

リードの勝敗を決めるのは到達高度。

 つづいて『リード』は、スポーツクライミングの中でもっとも古い歴史を持つ種目である。勝敗を決めるのは“到達高度”であり、長い距離を登る種目であるため最小限の力で自身の体の高度を上げていくテクニックと持久力が重要なカギとなる。

 12m以上の壁で、最長60手程度のコースで競い合い、選手はロープの繋がったハーネスを装着し、途中の確保支点にロープをかけることで安全をキープしながら登り、最後の支点にロープをかけると完登となる。

 制限時間は予選で6分間、準決勝・決勝では8分間。時間切れ、あるいは墜落、反則をした時点での高度が獲得高度となり、同じ獲得高度の選手がいた場合はカウントバック(前ラウンドで順位が高い選手を優先)が適用され、それでも同順位の場合は獲得高度までのタイムが短い選手が上位となる。

『スピード』はクライミングの短距離走。

 『スピード』は、その名の通り壁を登るタイムを競うものである。いわばクライミングの短距離走と言っていいだろう。

 競技では15mの壁が使用されるのだが、コースはあらかじめ選手に知らされており、『リード』や『ボルダリング』と異なり、事前にレースと同じコンディションで練習をすることができる。

 トップレベルになると勝負はコンマ数秒で決することになり、非常にスリリングな展開となる。

 そんな『ボルダリング』、『リード』、『スピード』の3種目で複合的に競うのが4種目の『コンバインド』である。

 東京2020大会においてスポーツクライミングは『コンバインド』で行われる。

 体操競技で言う『個人総合』であり、クライミングに必要なすべての要素がひとりの選手に求められる。得意な種目は必要だが、しかし偏ることなく、全種目において高いアベレージを維持できなければ勝利することはできない。

 そんなスポーツクライミングが注目され熱を帯びつつあるなか、2月3日、4日に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で『第13回ボルダリングジャパンカップ』が開催された。

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