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欧州サッカーで指導者改革が進行中。
藤田俊哉「日本もS級の枠を拡大」 

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藤田俊哉

藤田俊哉Toshiya Fujita

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posted2018/02/01 11:30

欧州サッカーで指導者改革が進行中。藤田俊哉「日本もS級の枠を拡大」<Number Web> photograph by Toshiya Fujita

リーズの現場レベルでも多士済々な指導者がそろう。その中で若手指導者が出てくるのも欧州サッカーならではの面白さだ。

S級講習会の枠を拡大するのも1つの手では?

 指導者ライセンスに関して私は、基本的に自動車の運転免許証と同様に考えている。つまり、必要なスキルを持ち合わせている証明書という位置づけだ。

 その上で、指導者の最高レベルのライセンスを現在のA級として良いのではないかとも考えている。S級はあくまでもプロ監督になるためだけに必要なものとすればいい。毎年約20人の受講者枠しかないS級講習会は、指導力があっても何年も待たなければならない現状がある。あるいは、枠を拡大する必要もあるのではないか。

 指導力があり“Jリーグの監督を目指す!”と宣言する指導者が増えれば、彼らも高いレベルで競い合うことに繋がる。またJクラブも監督の選択肢が広がるはずだ。

 S級保持者には、現時点で監督就任を希望していない方も多い。そういった人材が、Jリーグ監督を目指す人を指導できるシステムが確立すれば更にいい。Jリーグ監督経験者にしかわからない貴重な体験談を誰もが聞きたいはずだ。

名選手が優秀な監督になるケースも多々あるだけに。

 オランダという国は、どんな状況に陥っても少しの幅、余白を持って物事を考えてきた歴史があり、独自のスタイルで優秀な人材を育ててきた。なにごとにもバランスよく前に進んできた。

 サッカーでは「ボールを保持し攻撃し続けて相手を翻弄する」、「結果はベストを尽くした後のこと」、それが典型的なオランダスタイル。サポーターもそれを愛してやまない。自分たちのスタイルはこれだ! と強烈に自負するのがオランダらしさだろう。私もそんなオランダが好きだし、それを羨ましくも思っている。

 世界的にも、ジョゼップ・グアルディオラやジネディーヌ・ジダン、ユルゲン・クリンスマンなど、名選手が優秀な監督になっているケースも多々ある。様々な場面で厳しい状況を乗り越えてきた選手時代の経験は、監督としても生かされているはずだ。それを忘れることはできない。

 日本においても、長谷川健太監督や森保一監督らは、日本代表やJリーグでも活躍した選手だ。名波浩監督や大岩剛監督もそれに続く優秀な人材。それぞれが持つ個性を生かして成長し、いろんなタイプの監督が活躍するサッカー界にしていきたい。

 今回の「ラップトップ監督」というテーマをきっかけに、監督のスタイルや国のプレースタイル、各国のライセンス制度など、あらためて考え直すことができた。それらを理解し活用していくことが大切になる。これからも、いろんなことを経験して自分なりに学び、独自のスタイルを確立していきたい。

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