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“早大三羽烏”斎藤、大石、福井。
プロ初キャンプの見どころはどこか?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2011/01/28 10:30
梨田昌孝監督曰く、斎藤選手のプロデビューは最短で「東京ドームの2つ目か3つ目」になるという。3月29日からの東京ドーム3連戦(対オリックス)でのデビューなるか?
近年になく、今年のプロ野球のキャンプは話題を集めそうだ。だって、斎藤佑樹ひとりの力で、千葉県鎌ケ谷市があんなに盛り上がるんだもの……。正直、ちょっと苦笑してしまった。
斎藤の「キャンプ初投球」「初バッティングピッチャー」「初紅白戦」と前例を見ない報道を目にすることになるはずだ。
そうした喧騒とは別に、2月からのキャンプインで特に注目したいのは、当の斎藤と、西武に入団する大石達也、広島のユニフォームを着る福井優也の「早大三羽烏」が、どんなプロ生活をスタートさせるかということである。
なぜなら去年、こんな話をプロ野球関係者から聞かされていたからだ。
「早稲田では投手をしっかり教え込むという感じではなくて、学生たちが自分たちで工夫して頑張っているという印象。だから、3人はチーム内にライバルがいて恵まれていた。プロに入ったら、今までにないことを吸収するチャンスがあるだろうから、どれだけフィジカル、そして精神面の『キャパシティ』が用意できているかがポイントになる」
その第一段階がキャンプということになる。
過熱報道の中で……斎藤佑樹はどんな課題に取り組むのか?
もっとも注目度が高い斎藤だが、「捕手的投手」という評価がある。相手打者のことを研究し、配球を自分で組み立てられるタイプだ。
また、高校時代からどれだけ投球回数を重ねても終盤に最高速が出せるスタミナ、というよりは力の配分がうまく、ゲーム・マネージメントにも優れている印象がある。
プロに入って課題となるのは、ストレートの球速アップだろうか。
大学4年の9月、法大戦では自己最速となる150kmをマークしたが、その試合では低めの変化球を見極められ、高めを狙われて敗戦投手となっている。球速を追い求めたあまり、自分の持ち味である投球術が犠牲になってしまった印象があった(プロのスカウトが注視する中、斎藤に限らずどの投手も150kmを目指す弊害かもしれない)。
それでも球速のアップは必須といえるかもしれない。斎藤はプロに進んだ投手としては、投球回数当たりの奪三振数が少ないのだ。