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香川真司、ドルトムントでの復権。
代表は「選手の問題だけではない」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2017/12/19 11:30
新監督を迎えて上昇気流に乗ったドルトムントの中心に、香川真司は確かに座りつつある。
頭では分かっていても、改めて言うことの大事さ。
0-1で前半を終えたハーフタイム。新監督はドルトムントの選手たちに勇気を与えたようだ。
「攻撃のところでは、もっと早いテンポでボールを回して行くようにという指示があり、精神的なところではネガティブにならずにポジティブに、ミスを恐れずいきなさいという話があった。
選手自身もわかっていることでも、監督が改めて言うことでチームに影響を与えるので、そういうところのマネージメントはできていると感じます。もちろん、すぐに大きく変わるのは難しいけれど、それでも監督が代わるというのは、選手としては緊張感があるというか、ポジション争いも1からですからね。
必ず勝たないといけない今のチーム状況を見た時に、緊張感とか強さを与えてくれるので、うまくいって良かった。こうやって逆転して、ホームで勝ち切れたことはすごく大きい。(12月20日ドイツ杯の)バイエルン戦に繋げたい」
「自分のシュート力はわかっているから」という冷静。
マインツ戦では1得点を決め、この日も同点となるPKを呼び込むプレーを見せ、逆転弾のアシストをマークした香川。従来の1.5列目よりも下がり気味のポジションで、後ろからのパスを受けて前線に配球し続ける姿には、頼もしさが漂っていた。
「PKをとったプレーまでは選手の距離感に課題があったし、相手は守備がしやすかったはず。ただあの攻撃は、みんながいい距離感で少ないタッチでボールを繋げたし、僕も自然と中へ入れた。なかなか流動的で効果的な攻撃がないなかで、あの攻撃だけが唯一連動性があったと思う。最後はPKでしたけど、引かれた相手には、ああいうところで人数をかけないと崩せないのかなと思います」
そしてバイタルエリアから右へスルーパスを通した逆転アシストには、冷静な判断が光っていた。
「最初は自分で打とうと思ったんですけど、自分のシュート力はわかっているから。少し遠かったし相手も来ていたので、より可能性をあげるために、足元に出すか裏に出すかを最後の最後に判断した。ダイアゴナル(のパス)だと、相手は付いてこられないので」