福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が見た日本の改善ポイント。
要所を守る意識、奪ってからの速度。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2017/11/17 17:00
2列目が献身的な守備を見せるのは必須。ではそこからどう攻撃を仕掛けるか? 日本に提示された新たな課題だ。
ボールホルダーに対して必ずプレッシャーが。
もちろんスウェーデンは日本と違って身長の高い選手が多く、イタリアがサイドから上げるクロスを辛抱強く跳ね返せるストロングポイントがあります。それでも彼らは跳ね返す準備だけをしていたわけではなかった。引いて守っていたとしても、イタリアのボールホルダーに対して必ずプレッシャーをかけていました。
それもあってイタリアの選手はパスやクロス、ドリブルそしてシュートなど、余裕を持ってプレーすることができなかった。その分だけ少しずつ精度が落ちていたし、たとえシュートに持ち込んでもGKの正面に飛んでいたんです。
前線からプレスに行くのが厳しく、ゴール前30mぐらいで守る時間帯を強いられても、要所は確実に抑える。この意識を徹底できるかが、強豪国相手の対戦ではさらに必要とされます。
「さあ、大迫を見つけないと」と考えるより……。
ブラジル、ベルギーとの連戦でもう1つ明確な課題として見えたのは“奪ってから”の部分ですね。ベルギー戦では相手の中盤から最終ラインにミスが多かったので、フィニッシュまでつなげることができた。ただそれを決めきれなかったという事実は残ります。チャンスの回数を増やすと同時に、カウンターでも冷静にプレーできる状況を作りたい。
カウンターの起点として重要な役割を担っているのは、大迫です。W杯最終予選では特にそうでしたが、大迫のポストプレーで時間を作って、両サイドやインサイドハーフが攻撃に出る。これが今の攻撃の形です。ただこの連戦では全体的に押し上がらない状況で、大迫が複数人のマーカーに囲まれながら、厳しい体勢でボールを受けていた。大迫としては苦しい状況が続きました。
それでもベルギー戦では相手の左サイドに比較的スペースがあったので、浅野と近い距離感で仕掛けるような狙いが試合中に出せれば、活路はあったと思います。パスの出し手も、奪ってから「さあ、大迫を見つけないと」と考えるより、奪った瞬間にポジションを取った大迫に対してパスをつけられれば、考える時間を省略して素早いカウンターへと移れます。