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BCリーグでドラフトを待つ男たち。
野球部経験なしの素質溢れる18歳も。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/10/22 09:00
ロッテの角中勝也らを輩出した四国ILに加えて、BCリーグのレベルも徐々に上がりつつある。新たな才能の出現に期待したい。
俊足以上に目を引く、柳田ばりの強打。
巨人三軍戦では2番を打っているので、一見チャンスメーカータイプにも見える。4回にセンター前ヒットを打ったあと二盗に成功、このとき二盗に要したタイムは私の計測で3.20秒で、十分俊足と評価できる。50メートル走の最速は5.8秒、陸上部時代は走り幅跳びが専門で、ベスト記録は6メートル45センチ。これらの数字を見ても脚力を生かした走塁を持ち味にする選手と考えたくなる。しかし、和田の持ち味はそれだけではない。
バッティングでのミートポイントが限りなくキャッチャー寄りで、このポイントでボールを捉えて後ろ手で強く押し込むという柳田悠岐(ソフトバンク)ばりの強打こそ和田の最大の持ち味である。
この選手が、高校卒業後1年しか経っていない18歳というのには驚かされる。都幾川倶楽部は今年の全日本クラブ野球選手権の関東代表決定戦に出場したほどの強豪チームだが、クラブチームの経験しかなく、高校野球の経験がない18歳がいきなりドラフト候補と注目される選手に成長しているのである。素質が有り余っていると言うしかない。
独立リーグが掬い上げた才能の数々。
過去BCリーグの選手がドラフトで指名されたのは、育成ドラフトでは内村賢介(元楽天、DeNA)など25人いるが、支配下ドラフトではいずれもオリックスが指名した前田祐二、森本将太、柴田健斗の3人しかいない。ここに今年、沼田、寺岡、和田の3人が入るのではないかと密かに囁かれているのである。
ちなみに独立リーグの先達、四国アイランドリーグでは過去、17人が支配下ドラフトで指名され、'06年にロッテから7巡指名された角中勝也(高知)は'12年、'16年のパ・リーグ首位打者に輝き、'13年のWBC(ワールドベースボールクラシック)の日本代表にも選出されている。
もし'06年当時、独立リーグが存在していなかったら角中はプロ野球に進んでいなかったかもしれない。そう考えると四国アイランドリーグやBCリーグが有名大学や社会人チームに入れなかった選手たちの受け皿になっている現在の姿は、とても貴重だと言わざるを得ない。