詳説日本野球研究BACK NUMBER
BCリーグでドラフトを待つ男たち。
野球部経験なしの素質溢れる18歳も。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/10/22 09:00
ロッテの角中勝也らを輩出した四国ILに加えて、BCリーグのレベルも徐々に上がりつつある。新たな才能の出現に期待したい。
育成ではないドラフトで指名される可能性がある選手も。
さて9月27日の巨人三軍対BCリーグ選抜の交流戦は予想外にいい選手が多く注目した。BCリーグは8人の投手が登板し、ストレートが145キロ以上を計測したのが沼田拓巳(石川)、前田大佳(栃木)、村田陽春(武蔵)、橋詰循(栃木)の4人で、沼田は最速150キロ、前田、村田は148キロを計測した。
投球フォームはそれぞれ個性的。前田はヒジが十分に使えないアーム式という投げ方で、ボールが高めに抜けないように体ごとボールを押さえ込むことで逆にフォームの力感を生んでいる。
村田は右腕が背中のほうに深く入り、橋詰は左肩上りとそれぞれクセが強いが、元プロの指導者たちはフォームをあまりいじらず、ボールの速さのほうを伸ばそうとする。フォームの矯正はプロに入ってやってもらえ、というスタンスである。
個性派が多い中で沼田(23歳・右投右打・185cm/88kg)はクセが少なかった。1回裏は内野安打とポテンヒットなどで2点、2回は自らの暴投で1点を許しているが、150キロのストレートと打者寄りで横変化するスライダーのキレがよく、2回にはこのスライダーで8、9番打者を連続三振に取っている。同リーグの関係者は沼田とこの日は投げなかった150キロ右腕、寺岡寛治(石川)の2人は育成ではなく本番のドラフト(あえて表現すれば支配下ドラフト)で指名される可能性があると話してくれた。
高校時代、野球部に所属していなかった選手も!
もう1人注目した選手は2番・レフトでスタメン出場した和田康士朗(富山・18歳・左投左打・184cm/68kg)だ。この選手で驚かされるのは埼玉県立小川高校に通っていた頃、野球部に在籍していなかったこと。陸上部に通っていて、野球はクラブチームの都幾川倶楽部硬式野球団(以下、都幾川倶楽部)でプレーしていたという。
プロ野球史上、日本人プレーヤーで高校の野球部に在籍していなかった選手はいただろうか考えてみた。100メートル走の元日本記録保持者で1964年の東京オリンピックに出場したこともある飯島秀雄('68年ロッテ9位)などはいるが、数少ないはずである。
'91年に西武が8位指名した日月(たちもり)哲史はやり投げで国体入賞した選手だが、関東高校では当初、野球部に在籍していたらしい。和田の「高校野球部在籍なし」がいかに珍しいかわかっていただけると思う。