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1頭6億円のセリ値がつくご時勢。
1000万円台で10億稼いだ孝行馬は?

posted2017/07/29 08:00

 
1頭6億円のセリ値がつくご時勢。1000万円台で10億稼いだ孝行馬は?<Number Web> photograph by Kyodo News

強烈な末脚でGI2勝を挙げたジャスタウェイ。セリでは高額ではなくても名馬へと駆け上がるプロセスに、ロマンがあるのだ。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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 7月10日、11日のセレクトセールに続き、「日高のセリ」として知られる7月18日のセレクションセールも落札総額、落札率とも過去最高だった昨年を上回るレコードを記録した。

 セレクトセール当歳では、イルーシヴウェーヴの2017(牡、父ディープインパクト)が5億8000万円(税抜き、以下同)という、日本のセリ史上2番目の高額で落札され、話題になった。

 しかし、日本の競馬界では「セリの高額取引馬は走らない」と言われつづけてきた。それが「定説」になっていたのだが、ここに来て、いささか状況が変わってきたようにも見える。例えば、2頭合わせた落札額から「5億円対決」として注目されたサトノダイヤモンドは、2億3000万円で落札されたのだが、昨年の菊花賞、有馬記念などを優勝。今年の天皇賞・春(3着)終了時で7億8118万6000円もの賞金を稼ぎ、「定説」を覆した。

 セリの高馬が走らないというのは、もはや過去の常識なのか。それとも、サトノダイヤモンドが例外的な存在なのか――。

 サラブレッド市場の活況が続いているタイミングだからこそ、セリの高馬のその後を追いかけ、「夢の収支」を見てみたいと思う。

最高落札額・6億円のディナシーは獲得賞金ゼロ。

 日本のセリ市場における最高落札額を叩き出したのは、2006年のセレクトセール当歳で6億円の値がついたディナシー(牝、父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー)だった。もともと繁殖牝馬としての価値を見込まれ、これだけの値がついたのだが、未出走だったため獲得賞金はゼロ。

 これまで6頭の仔馬を産み、3番仔のミッキーディナシー(牝、父ハービンジャー)が2014年セレクトセール1歳で3600万円、ピラータ(牡、父クロフネ)が2015年のセレクトセール当歳で1億円、ディナシーの2016(牡、父ノヴェリスト)が2016年セレクトセール当歳で4500万円で落札されている。

 初仔のヴェルデホ(牡、父シンボリクリスエス)は取引価格は不明だが、JRAで3勝し3163万3000円を稼いだ。2番仔のアルーシュ(牝、父テテカステナンゴ)はJRAで6戦して未勝利だった。今年生まれたディナシーの2017は上場されていないので、今もノーザンファームにいると思われる。

【次ページ】 「10年、20年のうちに大物が1頭でも出ればいい」

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