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NBAスカウトが語る選手の評価基準。
「日本にとって最大の問題はサイズ」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byFIBA
posted2017/07/26 11:30
FIBA U19ワールドカップで、U19日本代表は大会3勝をマークし、アジア1位とトップ10入りを果たした。
「正しいときに、正しい場所にいる必要がある」
「前回見たときからどう成長しているかを見る」と言うように、スカウトたちはU19の大会単体だけで選手を評価するわけではない。U16、U17、U18、U19、そしてその合間に行われるナイキ・フープサミット(毎年春に行われる高校生世代のアメリカ代表対世界代表の試合)やNBAのバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ(世界中のエリート選手を集めたNBA主催のバスケットボールキャンプ)などでも選手をチェックする。実際に現場で見ることができなかった大会でも、ビデオ映像やデータベースを確認する。U19の大会での評価も、その蓄積されたデータのひとつとなる。
「これはプロセスだ。NBAが求める高いレベルにあう選手なのか、簡単にわかることではない。多くのすばらしい選手たちが、様々な理由からNBAでプレーせずに終わっている。
選手として実力が足りない場合だけでなく、状況によって実現しないこともある。普通の人生と同じだ。成功しないことはある。正しいときに、正しい場所にいる必要がある。そういった選手、磨かれる前のダイヤモンド……とは言いたくないけれど、NBAに入るチャンスがある選手を見つけることが私の仕事だ。実際に入るかどうかは、選手次第なんだ。
個人的には、早い年齢のうちに見ることができればできるほど、きちんとした評価を下すことができると考えている。成長を見ることができる。『この選手は順調に成長している』ということもあるし、その反対もある。『それほど上手になっていないな』とね。身体の変化などもある。そういったことも含めて、プロセスだ」
選手の情報が行きわたり、評価方法こそが重要に。
また今は、ひと昔前のように知られざる逸材はほとんどいなくなったという。もちろん、遅咲きの選手や、他スポーツから転向した選手が突然、U19のような大会で頭角を現すことはあるが、多くの大会が何らかの形で記録されるようになり、世界中の有力選手は全員が各チームのデータベースに記録される時代なのだという。
「多くの新しいテクノロジーによって、秘密はなくなってきた。(有望選手を)隠しておくということも滅多になくなった。若い選手たちは大会で露出し、エージェントが売り込むようになってきた。それだけに、今は選手をどう評価するかの問題になってきている。私と君で同じ選手を見ても、意見は違うかもしれない。同じ評価をするかもしれない。
選手の立場からいうと、(スカウトに)見られるだけのフェアなチャンスを得るようになった。今ではすべてのNBAチームが世界中にスカウトがいるか、あるいは様々なコネクションから情報を得ている」