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ムーキー・ベッツと連続無三振記録。
「伝説」を視野に入れられるか? 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2017/04/29 09:00

ムーキー・ベッツと連続無三振記録。「伝説」を視野に入れられるか?<Number Web> photograph by AFLO

ベッツは2016年のオールスターにも出場。俊足強打のニュースターとして名門チームを引っ張る。

手と眼が高度に連動しているベッツの打撃。

 ベッツ当人が意識していたかどうかはわからないが、このあたりまでは伸びるかな、と私は見ていた。まあ、悔やんでも仕方がない。「三振しない」というのは、あくまでも好打者の副産物であって、それ自体が重大な目的となるものではない。そもそも、いま例に挙げた好打者たちに共通するのは、長打が少ないことだ。アシュバーンなどは、本塁打ゼロの年が3度もあった(通算では29本塁打)。コンタクト能力とパワーが共存する例は非常に少ない。

 それを思うと、2016年に31本塁打を放ったベッツは例外的な存在だ。年間では730打席で80三振(三振率=11%)、214安打、49四球。数字を見るだけでも、選球眼とコンタクト能力と長打力にすぐれていることがよくわかる。めったにいない選手だ。

 ベッツには、ほかにも特色がある。ひとつは、手と眼が高度に連動していることだ。ビデオで見るとわかりやすいが、ベッツは、ピッチャーの投じた球がストライクゾーンに入る前から球筋を見切っている。つまり、悪球に手を出さず、バットのヘッドで球をしっかりとらえる能力が高い。

 いいかえれば、観察能力と反射神経が際立っている。相手の投手は、他の打者に対してどういう投球の組み立て方をしているのか。ストライク先行のときはどんな球で勝負してくるか。逆にボール先行のカウントでは、どんな球を投げてくるか。24歳の年齢に似合わず、ベッツは状況に応じた読みをこまかく働かせているように見える。

早打ちせず、当てに行くような打撃をしない特色。

 もうひとつの特色は、早打ちをしないことだ。早打ちをすれば、三振が減るのは当然だが、凡打の数も増える。だがベッツは、しばしばツーストライクまで待球する。そして、ここから先が肝心なのだが、彼はこの段階でもバランスを崩したり、アプローチを変えたりしないのだ。当てにいくような打撃をすることはまず見かけない。

 2005年以降、大リーグ全体の三振数は一貫して右肩上がりの傾向を示している。'05年に3万644個だった三振数は、'16年に3万8982個に増えた。三振率も、16.4%から21.1%へと上昇した。

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