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長野から、なでしこのエースへ――。
進化し続けるストライカー・横山久美。
text by
松原渓Kei Matsubara
photograph byKei Matsubara
posted2017/03/25 11:30
地方都市・長野から全国の女子サッカーの人気を支え続けているパルセイロと横山。その派手なサッカーは本田監督の戦略に裏打ちされている。
いたずらっ子のような笑顔と、勉強家の一面と。
長野Lのトレーニングでは、チームメートにも厳しく要求する。
パスのコースやタイミング、ボールを受ける体の向きなどは、まるで自分に言い聞かせるように、チームメートにも訴えかける。時に言葉がきつくなることもあるが、ピッチに立てば年齢は関係ない。
横山は言う。
「味方が間に合わなくても、走って欲しいタイミングでパスを出すこともありますし、受け手になった時は、自分がそのポジションに先に入るようにしています。タイミングは体感した方が分かりやすいし、言葉で伝えるだけでは分からない部分もあると思うので」
こだわっているからこそ、良いパスやクロスには「ナイス!」と、満面の笑顔で親指を立てる。
そのいたずらっ子のような笑顔の裏には、熱心な勉強家の一面もある。
男子のチャンピオンズリーグやJリーグの試合を見て分析し、読書も欠かさない。体づくりや睡眠の質、考え方など、本から学ぶことは多いという。
横山に大きな影響を与えてきた本田美登里監督。
「最近は『GRIT/やり抜く力』(ダイヤモンド社)を読みました。作中でキーワードとなっている『物事をやり抜く力』が必要なのは、サッカーだけではないと思います。
良い休息の取り方も学んでいます。『睡眠は脳から』と言いますし、脳が疲れていると、いくら寝ても疲れが取れない。本を読んで、いいな、と思うことは積極的に取り入れますね」
そんな横山に大きな影響を与えてきたのが、長野Lの指揮官である本田美登里監督だ。
自身も元日本女子代表選手として活躍した本田監督は、10歳だった宮間あやを見出し、世界的なプレーヤーへと飛躍するきっかけを与えた指導者でもある。