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なぜトヨタは挑戦しつづけるのか。
極限状況が人とクルマを鍛える。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTOYOTA
posted2017/03/31 11:00
18年ぶりの復帰戦となったラリー・モンテカルロ。ラトバラ/アンティラ組は2位に入った。
24時間のゴールまで、あと3分だった……。
一方、ル・マン24時間に代表されるWEC(世界耐久選手権)挑戦も重要な柱だ。ル・マン24時間への初参戦は'85年。以来、昨年まで18回挑戦し、2位に5回入るも優勝はなし。「シルバー・コレクター」とさえ呼ばれている。とくに昨年は、24時間のゴールまであと3分、誰もが優勝と確信した瞬間に、まさかのマシン・トラブルでストップ。世界が驚愕した瞬間の記憶は今も生々しく残る。
「でも、負け惜しみではなく、あの負けがあったからこそ、私たちトヨタはまた一つ強くなれたのだと思います」(北澤)
ル・マン24時間に挑む理由とは?
じつは、冒頭の豊田喜一郎の言葉には、前段がある。
〈すべての機械というものは、理想通りに動くはずのものであるけれども、人間の考えた理屈というものは甚だ浅はかなもので、実際に動かして見ると我々が想像し得ないような結果になることも多々有る。〉
どんなに考え尽くしても、どこか足りないところがある。それは、実際に挑んで、走らせてみなければ見えてこない。だからこそ、挑む価値がある。昨年のル・マン24時間は、その好例とも言える。
アウディが撤退した今年、トヨタはル・マン24時間に3台体制で王者ポルシェに一騎打ちを挑む。3台のTOYOTA TS050 HYBRIDにはそれぞれ、中嶋一貴、小林可夢偉、そして昨年のスーパーフォーミュラのチャンピオン、国本雄資の3人の日本人ドライバーが乗り込む。決戦は6月17~18日。
「去年の負けを無駄にしないためにも、絶対に今年は勝たなくてはいけません。TOYOTA GAZOO Racingは"負け嫌い"なのですから」(北澤)